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アジアのサイモン・ヴィーゼンタールがいたなら

アジアのサイモン・ヴィーゼンタールがいたなら

Posted August. 05, 2013 07:38,   

「ヒットラーがジプシーを殺すべきだった…」

先月末、フランス西部ショレ市のジル・ブードゥレックス市長はこのようにつぶやき、政治生命を断たれる危機に陥った。約100台のキャンピングカーを違法駐車した東欧出身のジプシーとの口論の中で何気なく言った言葉が録音され、地元紙に掲載されて波紋を呼んだ。ブードゥレックス市長は、ナチスの「反倫理犯罪称賛」容疑で検察の取調べを受けた。有罪が確定すれば5年以下の懲役刑、罰金4万5000ユーロ(約6680万ウォン)が科されることになる。ブードゥレックス市長は所属政党からも追放された。

今度は日本の麻生太郎副首相が耳を疑わせる発言をした。平和憲法の改正を推進する日本の保守勢力が民主的なドイツのワイマール憲法を誰も知らないうちに無力化させた「ナチス式改憲」の手口を学ぼうという提案だった。ナチスの改憲は第2次世界大戦とユダヤ人600万人大虐殺の惨劇につながったという事実を知る欧州の人々は驚愕した。麻生副首相は「密かにすばらしい」改憲をしようという趣旨だったのだろうが、全世界に日本の軍国主義復活の思惑を広く知らしめる結果となった。

フランスでは最近、韓流マニアが現れているが、日本文化ブーム「ジャポニスム(Japonisme)」の歴史は19世紀からあるほど根が深い。日本を文化的・経済的な理由で好むのは理解できる。しかし、ドイツと違って過去を知らず、破廉恥な平素の日本の態度をあまり指摘しないフランス人を理解できなかったことは一度や二度ではない。

その理由について元外交官のフランス人から聞いたことがある。彼は「フランスや英国も植民支配をして悪いことをしたが、謝罪したことがない。敗戦したドイツだけが謝罪した」と答えた。同じ帝国主義国家だったため痛いところはお互いに触れないという論理だった。

しかし、欧州のメディアの態度は麻生副首相の「ナチス発言」で変わった。フランスのルモンド紙は、「麻生副首相の失言シリーズにはいつも『ナチズム』がある」と指摘し、ドイツの南ドイツ新聞は、「まるでナチスが正当な手続きで改憲したように発言したが、実際はナチスは様々な特別法を作って民主主義を歪曲した」と批判した。

欧州メディアの麻生批判を見て一方で苦々しく思った。これまで日本の政治家たちが日本軍従軍慰安婦問題など東アジアの侵略に関する多くの妄言をしたが、「ナチス妄言」ほどスポットライトを受けたことはなかったためだ。また、韓国、中国などの抗議は無視し、欧州の批判には素早く発言を撤回する日本の政治家たちの「西欧事大主義」も苦々しさを禁じえない。

今回、麻生副首相の妄言に対して最も強く批判をしたのはユダヤ人人権団体「サイモン・ヴィーゼンタール・センター」だった。同センターをつくったサイモン・ヴィーゼンタール(1908〜2005)は50年間で1100人以上のナチス戦犯を捜し出して起訴し、「最後のナチス戦犯ハンター」というニックネームがつけられた人物だ。ヴィーゼンタールは、ナチスのユダヤ人虐殺を総指揮したアドルフ・アイヒマンをアルゼンチンで見つけ出した。同センターは最近、ドイツでナチス戦犯に懸賞金をかけた。

いつのまにか「ナチス美化」は精神病者のすることだと考え、日本の政治家たちの「軍国主義美化」妄言に慣れてしまったのではないだろうか。もしアジアにもヴィーゼンタールのように執拗な「日帝戦犯ハンター」がいたなら状況は変わっただろう。従軍慰安婦強制動員、731部隊の細菌戦、南京大虐殺などに関与した戦犯が捕えられる度に、世界の人々が日本の謝罪を求めるだろう。しかし、より重要なことは加害者の懺悔だ。ヴィーゼンタールは、生前にこのようなことを言った。「加害者の懺悔なく被害者の許しが可能か」。