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21世紀の「遊牧民政府」

Posted May. 01, 2013 08:23,   

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身体は忙しくて疲れているけど、働く時間は短い。ソウルの自宅⇒政府世宗(セジョン)庁舎⇒オソン駅⇒ソウル駅⇒長官・次官のソウル事務所。この動線を行き来する公務員は、長官・次官を対面して決裁を受けるために1日に3、4時間を道で送っている。首相と長官・次官らは、国会に呼ばれ、大統領に入り、閣議をはじめ各種会議や省庁関連の行事のため、ソウルを離れるのが困難だ。葬式にも連日のように参列する。上司が主にソウルに滞在しているため、室長・局長・家長らも1日はソウルで、1日は世宗で、午前は世宗で午前はソウルで——といった具合の場合が多々ある。

長官はどちらだ、次官はどちらだ、局長はどちらだ、課長は?隠れん坊をするかのように人の居場所を確認するのも一仕事。協議、報告、決裁のアポ取り、空間を合わせるのが円滑でないため、タイミングを逃した政策も出てくる。ソウルと世宗を一飛びで通いながら、足裏に火が出るほど忙殺されながらも、仕事ははかどらない。お上たちがソウルにいるため、取っ手のないひき臼とも言うべきか。21世紀の「原始遊牧民政府」とも言えそうだ。

対処しなければならない国内外の状況は分秒を争うというのに、国会の非生産性までのしかかり、政策は懐妊期間が長過ぎるし、最初から不妊になってしまうことも少なくない。雇用の一つが命ほど大事なところへ、新規雇用を生み出す産業を規制の呪縛から解き放てられないことだけでも苛立ちが募るばかりだ。

国会に長官が出席すれば次官をはじめ室長、局長、課長を入れて数十人が付き添う。世宗で下宿している公務員は、前日にソウルの自宅で寝ては国会に出向き、世宗に引っ越した公務員はソウルに家を持たないため、朝7時発のバスに乗って上京して国会に出勤する。与野党が政治攻防でもすると、当ても無く数時間を待たされては、長官・次官をはじめ数十人が「無労働」のまま解散することもある。世宗庁舎の事務室に処理しなければならない仕事がたまっていても、ソウルに家を持つ公務員は下りて行かない。行ったところで日課は終わっているし、報告してくれる部下も、決裁をしてくれる上司も庁舎にはいない。

世宗庁舎で席を守っている中下位職の公務員たちは、午後6時が近づくと退勤バスを逃すまいとデスクの整理をしてはさっそうとカバンを手にする。業務への集中度を落とし、業務雰囲気が緩む余地が至るところに散在する。徹夜で働いていた過去の公務員社会の光景はなくなっている。公務員たちも疲労感を訴えているが、行政の非効率による被害は国民が受ける。150キロの遠距離の無理な通勤に加え、頻繁な出張が行政サービスの質と量を下げ、税金負担だけを大きくしているのだから、国民にとっては二重の不利益だ。

世宗市建設に投入された基本予算だけでも22兆ウォンに上る。主要4河川事業の予算に匹敵する。野党と朴槿恵(パク・クンヘ)政府さえ4河川事業の言いがかりをつけているが、4河川の22兆ウォンがもっと無駄遣いなのか、世宗市の22兆ウォンがもっと非効率なのかは突き詰める必要がある。地域均衡発展が目標なら、道は他にも色々ある。監査院は行政中心複合都市建設事業に対する全面的な監査を実施して問題点を究明することで、「国民のための」対策を示すべきだ。世宗庁舎が醸し出している副作用と国民の負担は国政調査対象に値する。

首相室と各省庁は、行政の非効率を減らすとして部分的にテレビ会議や書面報告などを試みている。だが、その程度で高効率行政が実現するはずがない。政府庁舎をソウル、果川(クァチョン)、大田(テジョン)に続いて世宗市にも置く4庁舎時代の根本的な行政改革策を見出して実行するべきだ。

世宗市建設を押し付けた朴大統領と国会が率先してしなければならない仕事がある。閣議を遠隔テレビ会議で行い、さらには国会の対政府質問と常任委員会にもテレビ会議を導入することを提案する。情報通信の世界最強を目指しているIT強国なのだから、できないこともない。多くの省庁を世宗市に移したのなら、長官・次官から世宗市に定着して仕事ができるようにするのが常識だ。

金大中(キム・デジュン)政府末期の半年間も、隔週で欠かさずテレビ会議で閣議を開いた経緯がある。大統領は、首相や長官たちを面と向かって指示したくても我慢するべきだ。大統領はソウルで指示し、首相は世宗市で報告すれば済むことだ。互い表情や目の色までも映像で読めるはずだ。国会の会議なら、議員たちは汝矣島(ヨイド)で追及し、首相と長官らは世宗庁舎で誠実に答弁すれば良い。首相が閣議を主宰する場合でも、首相は世宗庁舎のテレビ会議室に座って、ソウル庁舎と果川庁舎、そして大統領府の会議出席者たちと映像で対話できるはずだ。遠隔会議のためのシステムは、韓国の技術水準なら容易に対応できるだろう。もちろん、セキュリティには万全を期しなければならない。

テレビ閣議、テレビ国会常任委員会は一つの象徴だ。世宗庁舎運営の国民的コストを落としてもあまるものがある政治活動や国政革新こそ、今日の世宗市を生んだ主役たちが達成しなければならない責務である。立法と行政の低生産体質を横にしたまま政治改革と国民生活の幸せを語るのは、権力と職能を与えた国民に対する道理ではない。政府は、創造行政に成功した上で創造経済を口にしても遅くはないだろう。