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[オピニオン]違法の代価

Posted March. 11, 2013 05:23,   

ソウル龍山(ヨンサン)警察署所属のイム・ソンムク巡査(30)は3日未明、ソウル梨泰院(イテウォン)で、玩具の銃を市民らに向け無差別に発射し、乱暴に車の運転をしていた米軍を阻止するために乗り出した。在韓米軍3人が乗った乗用車は、韓国警察の権威をあざ笑うかのように、実弾を撃ったにも関わらず、イム巡査の足の甲を踏みにじって逃げた。昨夏、平沢(ピョンテク)米軍基地の外で、韓国の民間人に手錠をかけて引き摺っていった米軍7人の一部が、起訴する前に悠々と韓国を離れたという。韓米駐屯軍地位協定(SOFA)の不平等を問いただす前に、韓国の公権力が弊履扱いを受ける有様を見ているような気がする。

◆ソウル中区(チュング)は8日、鄹壽宮(トクスグン)前で、1年余りも違法の座り込みを行ってきたテントを、強制的に撤去しようとした。双龍(サンヨン)車から解雇された座り込み者らは、「強制的撤去を糾弾する」と立ち向かい、警察や取締りの公務員は、どうすることもできずに引き下がった。テントでの座り込み自体が違法であり、3日、アン某氏が火をつけて、座り込みのテント3つのうち2つが全焼した上、鄹壽宮の石垣や垂木も焦げる被害を受けた。火災ごみ4.5トンを片付けるのに、中区は税金37万1000ウォンを使った。石垣や垂木を修復し、燃えた街路樹を植え替えるのに、どれほど金がかかるかまだ分からない。

◆イム巡査は、民間病院で応急手当を受けた後、警察病院で入院している。イム巡査のように勇敢かつ積極的に働く警官1人が、ベッドに横になっていれば、彼が担っていた地域の治安力にも穴ができ、大きな損だ。ベテランの警官らは、尋常なことでない限り銃は使わない。犯罪者に止まるよう命令し、空砲を撃った後、実弾を撃っても、下半身に打つべきだという銃器使用ルールを守っても、銃に打たれた犯罪者から、損賠外傷を請求されれば、警察が負ける事例が多い。イム巡査は、正当に法を実施したが、韓国人に銃を撃ったなら、かえって治療費を払わされる羽目になったかも知れない。しかし、クリス・ジェントリー在韓米8軍副司令官は、イム巡査を訪れて謝罪し、治療費や被害を弁償すると明らかにした。イム巡査が米軍を撃ったことについて、「非武装の外国人に過度な公権力を行使した」という言葉は一言もなかった。

◆鄹壽宮の前の座り込み用テントや梨泰院での米軍の乱暴事件には、公権力の無視という共通点がある。1年近く違法デモを行ってもなんら問題が無く、火災の後片付けに税金をつぎ込み、文化財が損害を受けたのに、中区は違法施設を設置した側や火をつけた人に弁償を求める気などない。実効性がないと勝手に思ったのか、それとも、自分のポケットから出る金ではないためか、税金で簡単に処理し、片付ける模様だ。公権力を無視したのは、鄹壽宮のテントも梨泰院での乱暴も似ているが、後片付けには、大きな違いがある。違法行動で生じた被害なら、一文の税金もかけずに、原因を提供した者に払わされるべきではない。

イ・ドンヨン社会部次長 argus@donga.com