一時、クリストファー・ヒル米国務次官補(東アジア太平洋担当)の人気が絶頂の時があった。駐韓大使を経て2005年4月に次官補になった後、「すべての北朝鮮問題はヒルに通じる」と言われるほどだった。6者協議による北朝鮮の核問題解決の努力が活発だった時、6者協議の米国首席代表を務めたことで、ヒル氏の一挙手一投足がすべて記事になった。米国大使としては初めて、光州(クァンジュ)5・18記念公園を訪れ、鉢盂供養をするなど、ショーマンシップを備えたヒル氏は、記者に会うことも楽しんだ。政府当局者と会った後、その結果を公開の場所でメディアに略式会見する「ぶら下がり会見」を好み、部下に「甚大な苦痛」を与えたという笑い話もある。
◆15日に来韓したカート・キャンベル次官補も、ぶら下がり会見の達人だ。特に会見の内容がなくても記者との出会いを好み、映画俳優劣らぬマナーと洗練された話術で韓米協力が完璧であることを強調する。気分が良くなれば逆に記者に質問し、即席の討論をする。最後には「もう質問することはないか」と記者に配慮する心づかいも見せる。ソウル三清洞(サムチョンドン)で昼夜、政権引き継ぎ委員会の委員と「鬼ごっこ」をする記者が聞けば、さぞ羨ましく思うだろう。
◆今回のキャンベル次官補の来韓は18度目。平均2.4ヵ月に1度韓国を訪れたことになる。しかし、キャンベル次官補にも「苦い過去」があった。2009年9月、李明博(イ・ミョンバク)大統領が野心を持って提案した対北朝鮮「グランドバーゲン」に対して、「率直に言ってよく分からない」と失言したことだ。気分を害した李大統領は、「『誰か』が分からないと言っているが、それがどうしたというのか」と不満を示した。驚くべきことに、この直後、キャンベル次官補は李大統領リーダーシップの伝導師になる。「ほかのどの外国指導者も見せなかった肯定的で信頼感のあるリーダーシップを実行する人物」、「考えを最も明確に表現する人物」…。すべてキャンベル次官補の李大統領への称賛だ。韓米関係について「これ以上にない良好な関係」という表現を最初に使ったのもキャンベル次官補だ。
◆キャンベル次官補も、以前は日本通だった。過去のアジア研究は日本研究を意味し、現在はたいてい中国を専攻することと見なすことを考えれば、驚くことでもない。4年間の公職を終えて学界に戻るキャンベル次官補が、韓国マニアになったことは喜ばしいことだ。オバマ政府になって、米国当局者の北東アジア歴訪ルートが韓国−日本−中国の順に変わり、日本よりも韓国に留まる時間が多くなったことも事実だ。キャンベル次官補は、韓国で朴槿恵(パク・クンヘ)次期大統領に会ってから日本に行き、安倍晋三首相と会談するという。日韓関係の再建(rebuilding)に対する米政府の意見を伝えるというが、どのような内容だろうか。
ハ・テウォン論説委員 triplets@donga.com






