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[オピニオン]アベノミクス

Posted December. 19, 2012 03:31,   

米国の量的緩和に続き、日本の「アベノミクス」まで重なって、世界的な為替相場戦争への懸念が提起されている。総選挙で圧勝して26日首相に就任する安倍普三自民党総裁は、「輪転機をくるくる回して、無制限にお札を刷る」という表現まで使った。1%インフレを固守する中央銀行に対しては、「さらに攻撃的に通貨政策を緩和し、年間インフレーション目標2%を達成しろ」と働きかけた。景気活性化のため「無制限金融緩和」に要約される「アベノミクス」だ。安倍政権は白川雅啓日本銀行総裁の任期が来年4月に終わると、インフレに賛成する人物に交替する予定だ。

◆米国の日刊紙ワシントン・ポストは、「安倍首相が打ち出した『日本を取り戻そう』という掛け声も軍事や領土問題よりは経済に集中されるだろう」と見通した。たとえ自民党が圧勝したとは言え、反対政派の乱立の影響が大きく、政党支持率が20%台に及ばない現実で、議論の余地が多い軍事的目標に集中するのは負担が重いというわけだ。安倍政権が財政を拡大したら、円の為替相場は上がる。円安だ。現在、1ドル=83円台の円・ドルの為替相場が来年末ごろには90円台まで円安が進みかねないという見通しが出ている。こるなると、量的緩和でドルの価値を下げている米国と衝突する。

◆日米両国が本当に為替戦争に突っ走ったら大変だ。為替相場は世界経済に肯定的な効果は殆どなく、相手の輸出を奪い取る「ゼロサムゲーム」だ。このため、貿易戦争を起こし、交易を萎縮させる。2度の世界大戦を触発した主な原因の一つが、先・後発先進国同士の貿易戦争だったと見る学者が多い。為替相場の弊害は承知しているはずなので、日米両国がその地雷を踏むことはないと見られる。

◆円安が進むと、韓国の輸出企業に被害が発生しかねない。だからといって、韓国まで人為的な為替引き下げに踏み切るわけにはいかない。高い為替相場が輸出に寄与するのは確かだが、内需不要効果が少ないためだ。実際、韓国の企業は長期間「高い為替相場政策」に慣れてきた。100円当たりのウォンの為替相場だけを見ても、1980年代初めは300ウォン台、1990年代初めには500ウォン台、00年代初めは1000ウォン台だったが、10年代に入って、1200〜1500ウォンの間で動いている。輸出企業も自生的な競争力を育てなければならない。為替相場にのみ頼っていたら未来が暗い。

虛承虎(ホ・スンホ)論説委員 tigera@donga.com