2008年9月9日午後11時頃、ソウル江南区新寺洞(カンナムク・シンサドン)のある映画館の前。
組織暴力団、海南(ヘナム)シプケ派のパク容疑者(40)が、金銭問題で争っていた無等山(ムドゥンサン)派のキム氏(当時41)を刺殺して逃走した。警察は、江南のど真ん中で殺人を犯したパク容疑者を重要指名手配リストのトップに載せ、追跡を始めた。大韓民国最高の警察という江南警察のプライドがかかっていた。
警察には多くの情報が寄せられた。「ベトナムに逃げた」「江南の美容整形外科で全身の整形を受けた」などの未確認のうわさだった。世間では、2人の主人公が互いの顔を入れ替える映画「フェイス・オフ」から、「フェイスオフ手配犯」という名前がつけられたりした。
3年間、姿をくらましていたパク容疑者が、警察の捜査網にかかったのは1年前。全羅南道(チョンラナムド)の海南警察署は、パク容疑者が故郷の海南と光州(クァンジュ)の組織暴力団員と会っているという情報を入手した。パク容疑者は、黒い車窓の車にしか乗らず、絶対に歩いて移動しなかった。警察は、パク容疑者と接触する組織暴力団員の情報を把握し、1年間、彼らの動きを追跡した。このような努力の末、警察は5日午後5時頃、光州東区大仁洞(テインドン)のあるデパートの前でパク容疑者を見つけた。
しかし、接近した警察官はパク容疑者の顔を見て驚いた。指名手配の写真と180度違っていた。パク容疑者は警察で、「逃走後、江南のある美容整形外科で二重の手術を受けた」と供述した。しかし、海南警察署のチェ・ジョングク捜査課長は、「過去のパク容疑者の顔とまったく違う。隣に座っても分からないほどだ」と話した。警察は、パク容疑者がボトックスなどの整形も受けたと見ている。体重も減らし、指名手配に記載された特徴である「がっしりした体格」「鋭い目つき」の面影はなかった。
時効を狙って逃亡中の指名手配犯が警察の追跡をかわすために整形をしている。整形の技術が発達した韓国では、全国どこでも簡単な手術で顔を変えることができ、「フェイスオフ」を望む犯罪者には最適な環境と言われている。
倒産したサムブファイナンスの梁在赫(ヤン・ジェヒョク)会長は今年7月、「金を預けた昔の部下に会いに行く」と言って家を出て、行方不明を装った。行方不明になったように見せれば、警察がこの部下を容疑者と考えて逮捕すると考えたのだ。梁会長は、他人になりすますために整形手術を受け、警察が分からないほどだった。
2002年から全国を舞台に性的暴行を犯したホ容疑者(46)は2007年、警察が指名手配すると、忠清北道清州(チュンチョンプクト・チョンジュ)のある美容整形外科で二重の手術をしてボトックス注射を打ち、警察の追跡をかわした。2010年に、知人の通報によって警察に検挙された。ホ容疑者は、パク容疑者とは反対に10キロほど太り、パーマもかけていた。2002年に忠清南道(チュンチョンナムド)で、ゴルフ同好会で知り合った女性会員を殺害し、逃走しているシン容疑者(49)も、ボトックスで顔を変えているという。
このような状況のため、重要指名手配犯のポスターを補完する必要性が指摘されている。手配犯の検挙のためには、手配犯を見た一般市民の情報提供が最も重要だからだ。しかし、国内では事件当時の写真と簡単な特徴だけが記載され、整形した手配犯の姿を知ることは事実上不可能だ。警察庁関係者は、「事件直後、指名手配する時は、整形の可能性について言及したり変装した写真を一緒に載せている。重要指名手配犯の場合は、実際の写真だけ掲載するのが原則だ」と明らかにした。
一方、米国では、市民が指名手配犯のリストを見て手配犯の姿を頭の中で描けるほど詳しく書かれている。2012年、米連邦捜査局(FBI)が発表した10大指名手配犯(Ten Most Wanted)には、犯罪者の整形の可能性だけでなく、性格、職業、詳しい容疑内容が記載されている。ヘロインやコカインなどの麻薬や殺人容疑を受けているある指名手配犯の記載内容には、「顔の整形手術の可能性があり、指紋変更の可能性まである」と明記してある。整形をした場合でも判別できるように、入れ墨の形や位置、傷跡など、簡単に消えない身体的特徴が詳しく描写されている。警察大学行政学科のイ・ウンヒョク教授は、「整形手術が活発な状況を考慮して、整形手術で変化した顔を予測し、指名手配犯のリストに記載することを考慮する必要がある」と指摘した。
tigermask@donga.com pibak@donga.com






