「練炭の灰をやたらに足で蹴るな／あなたは／誰かに一度でも熱い人だったのか」ある青少年放送劇に登場してから、青少年の間で広く愛され始めたという安度眩（アン・ドヒョン）の詩だ。アン氏は日常の些細なことから題材を探して感動を与える詩を書いた。同氏はしばらく前、民主統合党の文在寅（ムン・ジェイン）大統領選候補キャンプの共同選挙対策委員長を受け持ち、４・１１総選挙で民主党比例代表議員になった都鐘煥（ト・ジョンファン）詩人と共に、文候補のメンター団を組織する上で先鋒に立った。２人の詩人が含まれたメンター団３７人中３１人が詩人、小説家、評論家など、文学界の関係者だ。
◆安氏は、全国教職員労働組合（全教組）解職教師出身だ。「タチアオイのあなた」の都詩人も全教組解職教師出身で、全教組清北（チュンブク）支部長を務めた。同氏はとても忙しい全教組活動家だった。「猫ちゃん学校」という子供向けのファンタジー小説を書いたキム・ジンキョン詩人は、全教組の初代政策室長出身で、盧武鉉（ノ・ムヒョン）政府で教育文化秘書官を務めた。申庚林（シン・キョンリム）と鄭喜成（チョン・ヒソン）詩人は２人とも、民主党の予備選挙過程では金斗官（キム・ドゥクァン）候補を支持したが、今回は文候補のメンターとして名前を連ねた。一般の人にはあまり知られていない詩人がさらに１３人いる。
◆米国の政治は選挙の時、ハリウッドスターの助けを受ける。しばらく前、映画俳優であり監督のクリント・イーストウッドが共和党のミット・ロムニー候補の遊説場で、空いた椅子を立てておいて民主党のバラック・オバマ大統領の政策を厳しく批判して話題になった。ハリウッドは実は、共和党より民主党の性向が強い。歌手のレディー・ガガ、映画監督のスティーブン・スビルバーグ、俳優のジョージ・クルーニーらが民主党を支持する。米国でも韓国でも芸能人は有名だから、政治がその有名さを借りようとする。しかし、文人の有名さは芸能人のそれと比べると、大したものではない。小説家の孔枝泳（コン・ジヨン）のような例外がないわけでもないが。
◆詩人が政治に参加できない理由はない。もちろん、詩人が詩で現実政治に関して意見を示すこともできる。維新時代の抵抗詩人の金芝河（キム・ジハ）がそうだった。彼は表現の自由を得るために闘争して投獄された。しかし、今の時代、歌が批判できない聖域はほとんどない。詩人が執筆活動を越えて政治的意思を表現しようとしている理由は何か。それは権力への執念としか説明のしようがない。国会議員になった都鐘煥詩人に「謹弔」と書かれたリボンが付けられた植木鉢を送った人の気持ちが分かる気がする。
宋平仁（ソン・ピョンイン） pisong@donga.com
About Dong-A Ilbo