外国投資銀行(IB)10行は、今年度の韓国経済成長率を平均2.6%と予測した。10のIBのうちの9行が2%台を予測した。これら10行が予測した来年度成長率の平均は3.3%だ。韓国銀行は11日に発表する予定の予測でも、今年度成長率が2%に下がることを公式に認めるものと見られる。今年度は3.3%、来年度は4.0%と予測した政府の展望と大きな開きがある。
韓国の成長率に対する予測に悲観的な見方が強まっているのは、欧州財政危機の長期化、中国の成長の鈍化、米国の低成長などで対外的環境が改善されていないのが大きく響いた。家計、企業、公企業の負債、不動産景気の低迷など内部の影響要因も少なくない中、低成長構造が固定化しつつある。国会の予算政策処は、「わが経済の成長潜在力自体が低下している」として2012から2016年にかけての潜在成長率を年平均3.7%と推定しつぁ。グローバルな金融危機発生前の4年間(2004〜2007年)の4.4%はもちろん、グローバルな金融危機を含め、2007〜2011年の3.9%に比べても低い数値だ。
成長が停滞すれば零細庶民からダメージを受ける。低成長とともに失業が増え、その中でも一番弱い雇用階層である非正規職が真っ先に仕事を失う。大企業よりは中小企業、とりわけ零細自営業者の被害が最も大きい。結局、低成長は反福祉なのである。
大統領選立候補を表明している朴槿恵(パク・グンヘ)、文在寅(ムン・ジェイン)、安哲秀(アン・チョルス)の3候補の出馬宣言書や発言を見ると、成長に関する言及が薄い。3候補は、不平等解消に向けた経済民主化対策を核心的な公約として掲げている。雇用対策も、政府財源を社会・公共サービスに投入する方式に多くを依存している。成長がなければ経済民主化も、雇用も空念仏に終わる。大統領候補たちの発言には、エンジン(成長)はなく、ブレーキ(規制)があるだけという企業側の指摘は真実を含んでいる。
現在の低成長構造を打ち破るためには、成長の新しいパラダイムを見つけなければならない。医療保健、金融、人材、情報、知識、観光、教育など高付加価値サービスにおける規制を撤廃し、情報技術(IT)、生命工学技術(BT)、グリーン技術(GT)などの新成長産業で革新を推し進めなければならない。これこそ確実な成長の対案であり、雇用対策なのである。にも関わらず、大統領候補らをはじめ政界は、こうした本質的な課題には取り組もうとせず、民主化や雇用という甘言を飛ばしてばかりいる。こういう有り様では、誰が大統領になっても国民の苦痛の軽減にはつながらない。そうなれば、大統領としても失敗してしまう。
新しい成長モデルの開発についての具体的な答案が用意されていてこそ、真の「準備できた候補」と言えるだろう。国民も候補たちが成長とともに国民の苦痛を軽減できる方策を持っているのか見極めるべきである。






