北朝鮮の経済改革措置が表面化しつつある。貧困と空腹に苦しむ住民の心をなだめ、金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記の権力基盤を堅固にする考えのようだ。
米政府系放送局のラジオ自由アジア(RFA)は9日、北朝鮮現地の消息筋の話として、「6日から労働団体組織や工場、企業所に対して『新経済管理体系』に関する講演会が行われている」とし、「内容は、工場や企業所が独自に生産し、価格と販売方法も決める」と伝えた。これは、「北朝鮮が社会主義体制の根本である計画経済を放棄したということだ」とRFAは強調した。
またRFAは、咸鏡北道(ハムギョンプクト)の消息筋を引用して、「国家機関の事務員などに限って国家が配給を与え、そのほかの労働者の配給制は廃止された」とし、「農産物は全体収穫量の70%は当局が、残りの30%は農民が取るよう規定された」と伝えた。
これに対して、政府当局者は、「北朝鮮がいわゆる『新経済改善措置』を部分的、試験的に施行している可能性があるが、具体的な内容は確認されていない」と述べた。金第1書記は6月28日、「私たちの方法による新経済管理体制の確立について」という名前の経済方針を提示し、最近の改革措置はこの方針による形式を取っているという。
国家情報院は先月26日、北朝鮮に、△党・軍経済事業の内閣移管、△協同農場の分組人員の縮小、△企業の経営自律権の拡大、△労働者の賃金引き上げ推進などの動きがあると、国会に報告した。
北朝鮮は96年、穀物増産のために分組の規模を縮小し、目標量の超過分に対しては現物処分権を与えた。さらに02年には、賃金と物価の現実化、企業独立採算制の導入、配給制の縮小などを内容とするいわゆる「7・1経済管理改善措置」を施行し、05年以降、再び計画経済を強化する方向に旋回した。金第1書記が試みている今回の経済改革措置も、以前の措置と内容は類似していると、政府は把握している。
金第1書記は、4月15日の公開演説で、「人民が再び倹約しなくてもいいようにする」と約束して以降、経済の重要性を強調している。金日成(キム・イルソン)主席、金正日(キム・ジョンイル)総書記と違ってカリスマが弱く、軍部にも基盤がない金第1書記としては、「経済再生」がこれを埋め合わせる解決法というわけだ。
しかし、金第1書記が全面的で急進的な経済改革を推進することは難しいという見方が優勢だ。全面的な改革措置を宣言して失敗する場合、かえって金第1書記体制にとって不安要素として作用する可能性が高いためだ。
政府当局者は、「配給制はすでに以前から有名無実の状態だが、公式に配給制を廃止するなど社会主義計画経済の根幹を揺るがす措置を取ることは難しいだろう」と見通した。韓国開発研究院(KDI)の高日東(コ・イルトン)経済情報センター所長は、「これまで出された金第1書記の経済改革措置の内容は、7・1措置の水準にも及ばない」とし、「金第1書記が改革に反対する軍部などの保守層と改革を望む住民との間で綱渡りをしている」と分析した。
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