23日、韓国系米国人のキム・ヨン・ダートマス大学学長が、オバマ大統領、クリントン国務長官と並んでホワイトハウスの記者会見場に立った。米国が事実上決定権を握る世界銀行の次期総裁候補にキム学長を指名したのだ。キム学長は、財務長官を経験したローレンス・サマーズ・ハーバード大学教授、民主党大統領候補だったジョン・ケリー上院議員、立候補の意向を表明したジェフリー・サックス・コロンビア大学教授、スーザン・ライス国連大使らそうそうたるライバルを退けた。韓国が潘基文(パン・ギムン)国連事務総長に続き、韓国系の世界銀行総裁を輩出したことは、韓国国民にとって名誉なことだ。
国連が世界を代表する国際機関なら、世界銀行は国際通貨基金(IMF)と共に世界経済を動かす国際機関だ。国連事務総長は大国を牽制するため、主に弱小国の出身が任命される。一方、世界銀行とIMF総裁は、それぞれ66年と67年の歴史があるが、白人の専有物だった。そのような座にキム学長が指名されたことは、単に韓国系であることを越え、アジア人の新たな成就である。
キム学長はソウルで生まれ、5才の時に両親とともに米国に移住した。韓国系の夫人との間に2人の息子がいる。夫妻は韓国語が流ちょうだ。事実上、韓国人同然のキム学長が世界銀行総裁に指名されたことは、唐の時代、西域征伐をした高仙芝(コ・ソンジ)将軍やインドに行き往五天竺国伝を書いた慧超(へチョ)が成し遂げた偉業と大きな違いがない。キム学長は不断の挑戦と努力で、韓国史の主人公にとどまらず、世界史の堂々たる主役に浮上した。
韓国は日本植民地支配からの独立後、北朝鮮とは反対に開放の道を歩んできた。北朝鮮が3代世襲という現代史の「奥地」国家に転落している間に、韓国は世界最貧国から世界10位圏の経済規模を持つ国家に跳躍した。キム学長は、病気の撲滅などに従事してきた医療の専門家だ。世界銀行の主な業務は開発途上国への支援だ。オバマ大統領がキム学長を指名し、「(経済の専門家ではなく)開発途上国の専門家が世界銀行を率いなければならない」と言ったのは、韓国の類例のない成功と無関係ではない。
自由貿易協定(FTA)で世界の国境が消えつつある時代に、キム学長の指名を見て、開放を恐れる閉鎖性が、韓国に残ってはいないのか、反省する必要がある。英語で外国人とためらうことなく堂々と対話し、外国に出て行って世界に挑戦する若者が今よりも増えなければならない。冷戦時代、米国とソ連が体制競争をする中で、韓国に自由世界の広大な市場が与えられたことは天運だった。韓国国民は、賢明な判断で機会を逃さない政府を選んだ。常に、門戸を開ければ滅びると主張している、旧韓末鎖国派のような臆病者の政治勢力がいる。今一度国民の正しい選択が必要だ。






