検察が昨日、捜査結果を発表した釜山(ブサン)貯蓄銀行グループ系列の5銀行の計9兆ウォン規模の不正疑惑事件で起訴された人は、計76人だ。韓相大(ハン・サンデ)検察総長が、「悪性の大型犯罪」であると規定した同事件に関連して起訴された最高職の関係者は、金鍾昶(キム・ジョンチャン)元金融監督院長だ。氏は、金監院長に就任する直前、妻名義で保有していた株を売ったり、あるいは白紙信託せず、名義信託で保有した容疑で在宅起訴されたが、釜山貯蓄銀行不正の本質とは無縁である。
同事件のポイントは、計6兆315億ウォンに上る不法融資や、計3兆353億ウォンに上る粉飾会計に、政界や財界の実力者がどう関係しているかである。最高検察庁・中央捜査部は8ヵ月間、釜山貯蓄銀行グループの元・現職の役員20人余りの不正を明らかにした。金斗宇(キム・ドゥウ)元大統領広報首席や殷辰洙(ウン・ジンス)元監査院・監査委員などが、釜山貯蓄銀行の淘汰阻止ロビーに関係した事実も明らかになった。1兆ウォン台に上る貯蓄銀行の役員・従業員や、関連会社の保有不動産屋隠匿財産を洗い出し、元現職の金監院職員及び国税庁公務員の不正を摘発したのも、捜査の成果だと言える。
しかし、9兆ウォン台の金融不正が、これ程度限られた人間だけで行われたと信じている国民が、果たしてどれほどいるだろうか。検察の捜査結果を見れば、依然、納得できないところも少なくない。特に、全羅南道新安郡(チョンラナムド・シンアングン)の開発事業など、様々な政治性特殊目的法人(SPC)への数千億ウォン規模の融資の中には、使途不明部分も多い。この金の一部は、大株主らが裏資金として横領したり、政界や官界へのロビーに使用したものと見られるが、疑惑は解消されていない。
釜山貯蓄銀行は、1997年の通貨危機前までは、ノンバンク業界の中でもあまり知られていないほど微々たる存在だった。そんな銀行が、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)の3大政権にかけて急成長を遂げ、不健全化の規模が雪だるま式に膨らんだだけに、与野党の政治圏に庇護勢力が関与したとみなさざるを得ない。
検察は、釜山貯蓄銀行の急成長の背景に関する不正については明らかにしたことがない。これまで、検察による捜査過程で、釜山貯蓄銀行の不正に検察関係者らも関係していたことは、前政府はもとより、現政府の関係者らも関係しており、適切な捜査はなかなか行われないだろうという言葉が取り沙汰されてきた。捜査の意志が足りなくないのならば、適切な捜査のできない裏事情があるのではないかと気になる。






