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[オピニオン]自己実現的予言

Posted August. 10, 2011 06:09,   

「1分でも先を読め。すぐに災から抜け出せ」。今年初めに出版された「アフターショック」は、帯のタイトルからとても挑発的だった。著者は2006年、「米国のバブル経済」という本で2008年の世界金融危機を予測して有名になった経済学者デービッド・ウィドマー、ロバート・ウィドマー兄弟だ。両氏は「アフターショック」で、2008年の金融危機はまもなく迫る本当の危機の序幕にすぎないとし、ドル、株、不動産などすべての資産が暴落する史上最悪のシナリオが直面すると予言した。

◆経済の現象で「自己実現的予言(self-fulfilling prophecy)」とは、企業や国家経済、株式市場の浮沈が、人々が信じたとおりに進む現象だ。貯蓄銀行事態の時の「バンクラン」が代表的な例だ。ある貯蓄銀行が危ないといううわさが立てば、人々が預金を下すために銀行に押し寄せ、健全だった銀行が本当に危なくなる。迫る危機に備えて、すべての資産を現金化せよと主張した両氏の警告も、自己実現的予言になる可能性がある。

◆自己実現的予言は、景気がいい時より悪い時に威力的だ。行動経済学は、人は本能的に損失を回避しようとする傾向があると説明する。1000ウォンの利益を得た喜びよりも、同じ金額の損失に人がより心を痛めるという話だ。日本のマーケティング評論家のルディー和子氏は、「不安になるほど支出を控える行為は進化論から見て当然だ」と話す。「サルも未来が不安な時は『得ること』よりも『失うこと』に敏感に反応する。不安と損失の回避は脳で作用する」。(ルディー和子『売り方は類人猿が知っている』)

◆株価暴落に直面した米国で、消費者の不安心理が経済をさらに悪化させていると、米ニューヨークタイムズが8日付で報じた。「状況が悪くなることを憂慮して、人々が財布のひもを締め節約志向になり、そのため状況が実際に悪化している」と、コンサルティング会社A.T.カーニーのポール・ラウディシナ会長は話している。国債発行上限額の引き上げを含む財政再建法案が米国の上下院を通過したことは良い信号だが、かえって株価が暴落した。影響が著しい韓国の金融市場で、人々が不安のために自己実現的予言に加わってはならない。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com