北朝鮮に何度もやられ、核の恐喝にも何の対応もできず、謝罪も受けずに「組織暴力団に財布を出せと言われるように」会談を求められれば、待っていたかのように応じなければならないのが、南北関係の宿命であってはならない。北朝鮮が求める会談は、「同じ民族」だとか人道だとか、いくら体裁を取り繕っても、結局はドルとコメと肥料をくれということだ。しかし、過去、韓国側が与えたドルは、北朝鮮住民の生活を改善するためには使われず、核やミサイル開発に転用されたり、金正日(キム・ジョンイル)総書記と軍・党・政や住民弾圧保安機関の特権層の私腹を肥やした。
昔も今も、北朝鮮側が提案する会談には、非核化問題も、本当の韓半島平和問題も含まれていない。今回も、北朝鮮が求めるのは、南北間の最大懸案である核問題と天安(チョンアン)艦、延坪島(ヨンピョンド)事態に関する会談ではなく、赤十字、金剛山(クムガンサン)観光、開城(ケソン)工業団地関連の会談だ。北朝鮮は、自分らの体制保障と平和問題は米国と対決し、韓国はただ経済的に自分らを助ける役割だけすればいいという「会談の枠組み」から少しの変化もない。
大韓民国は、いつまでこのような南北対話の枠組みをただ受け入れるのか。このような対話の枠組みを受け入れれば、北朝鮮の核問題が解決され、南北間に真の平和が宿るのだろうか。とんでもない話だ。金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権のように低姿勢で与えてばかりいると、しばらくは「同じ民族」を叫んで喜ぶが、再び与えなければ、あらゆる言い訳を突きつけ、民族に向け挑発を繰り返すだろう。金大中、盧武鉉政権時代にも、核実験、西海(ソヘ・黄海)挑発、ミサイル発射、やれることはすべてやった北朝鮮だ。
そのため、このあたりで南北対話の枠組みを抜本的に再検討しなければならない。核開発を強行し、同族に対し、天安艦、延坪島挑発をする北朝鮮が、むしろ強気になり、韓国を困惑させる状況を放置することはできない。政府は、対話攻勢の弱点を捉え、北朝鮮の挑発の責任を徹底追及し、南北のすべての懸案を扱う会談の枠組みを主導的に作らなければならない。南北対話の構図を抜本的に変える戦略が必要だ。
北朝鮮の対話攻勢と韓国政府の未熟な対応を確認するために、遠くを見る必要はない。北朝鮮は昨年9月、秋夕(チュソク、陰暦8月15日)のわずか12日前に離散家族再会を提案してきた。北朝鮮は、天安艦沈没事件による危機を薄め、望んでいたコメ支援まで要求する契機を作った。政府は、北朝鮮の離散家族再会の提案を十分に予想できたが、先制対応ができず、受動的に引きずられた。離散家族の常時訪問を求め、貫徹する機会を失ったのだ。
北朝鮮が設定した会談の枠組みで、会談に応じるのか応じないのかを悩むレベルの政府は、常に後手に回らざるを得ない。北朝鮮は、1日に共同社説、5日に政府・政党・団体連合声明、8日に祖国平和統一委員会談話、10日にはウェブサイト「わが民族同士」を動員してきたが、会談の級と場所や期間は提示しなかった。会談よりも韓国を揺さぶることが、北朝鮮の一義的な目標なのだ。
李明博(イ・ミョンバク)政権は、対北朝鮮政策基調として「非核開放3000」を掲げた。これを廃棄したのでないなら、今でも北朝鮮に「非核開放3000」をテーマに会談を求めるべきだ。北朝鮮は今、「条件をつけずに対話しよう」と主張している。北朝鮮に、核を含む南北懸案を扱う会談を堂々と提案しなければならない。砲撃前までの南北関係を画期的に改善するには、創意的で大胆な試みが必要だ。北朝鮮の提案に真剣さがないからと、手をこまねいている時ではない。金正日政権を変化させることができなければ、南北関係は、韓国が与えれば静かで、与えなければ騒々しいパターンを繰り返すことになる。北朝鮮が、非核対話を拒否するなら、対話提案に真剣さがないということが自動的に明らかになる。北朝鮮の挑発にやられただけでは足りず、責任を棚上げし会おうと言ってくれば、戦々恐々とする対話構図を越えるためにも、政府の攻勢的対応が必要だ。






