韓米自由貿易協定(FTA)追加交渉の妥結を受け、EUが韓国に対し、FTA追加交渉を要求することもありうるという懸念が、一部から持ち上がっている中、ウベ・ビセンバフ駐韓欧州連合(EU)代理大使は、「韓米FTA内容を根拠とする韓EU間FTAの再交渉を要求するつもりはない」と明らかにした。
ビセンバフ代理大使(写真)は9日、駐韓欧州連合商工会議所が開催した「2010韓EU間協力賞」の授賞式に出席した。氏はこの場で、東亜(トンア)日報記者に対して、「重要なのは、EU所属の27ヵ国がFTA協定文に同意し、サインし、FTAを交わしたことだ」と述べ、「韓EU間FTAが来年7月に、暫定的に発効されることに支障はないだろう」と明らかにした。
——韓国と米国間のFTA再交渉の結果も影響要因と見られる。再交渉を通じて妥結されたが、欧州の立場はどうなのか。
「我々の立場は、韓米FTAと韓EU間FTAとは、完全に別のものだということだ。米国がよい条件で合意に導いたとしても、韓米FTAが最終的に合意されたことは、我々としても嬉しいことだ。先日、ソウルで開催された主要20ヵ国・地域(G20)首脳会議でも、保護貿易主義の流れについて警告を行ったではないか。保護貿易の拡大を防ぎ、自由貿易を拡大させるということで、歓迎すべきことだ。韓EU間FTAの合意は、その意味では、米国が韓国とのFTAを積極的に推進するのに、シグナルとして働いただろう」
——EUでは自動車分野を巡り、再交渉を要求しているそうだが。
「それは事実ではない。我々は韓米FTAを根拠に、再交渉を要求することはないだろう。もちろん、我々も同様に(韓米FTA)交渉内容を比較分析し、検討しているのは事実だ。しかし、先にも話したように、重要なのは、すでに双方が協定文に合意し、署名したことだ。それはすなわち信頼を意味する。協定文が見直されることはないだろう」
——しかし、欧州自動車業界からは反対が激しいではないか。EU商工会議所では同様に、韓EU間FTAの自動車部門の条項のうち、環境や安全基準について再検討に入っている。
「それは知っている。しかし、韓国も同様だが、産業界が反発するのは日常的なことだ。自動車メーカー内でも、排気量の大きい車と小さい車とへの利害が食い違っている。政府は、政治圏の様々な主張や産業界からの様々な要求を調整する役割を果たす。その点で、産業界の反発も、同様に大きな問題ではない」
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