北朝鮮は、「数百も(hundreds of hundreds)」の遠心分離器の存在を米国の著名な核科学者に公開する方法で、濃縮ウラン計画の稼動の事実を世界に知らせた。これは、平安北道寧辺(ピョンアンプクト・ヨンビョン)の原子炉から抽出されたプルトニウムのほかにも、ウラン濃縮による核兵器開発という「2つの道」を完成させたことを意味するもので、核交渉も新たな局面に突入することになった。
年間核兵器1個(濃縮ウラン20キログラム基準)を作るには、遠心分離器が1千基必要だと、専門家たちは指摘する。北朝鮮が、スタンフォード大学のヘッカー教授に話した遠心分離器2千基の保有が事実なら、北朝鮮は年間2個の核兵器を継続的に作り出すことができるという計算になる。政府当局者は21日、「まだ、北朝鮮が(ウラン)濃縮を進めていることは確認されていない」と前提しつつ、「しかし、事実なら深刻な問題だ」と話した。
●核開発への「2つの道」を完成
02年10月に世界に伝えられた北朝鮮の高濃縮ウラン(HEU)計画の存在は、8年間、実体が公開されない状態が続いた。09年6月、北朝鮮外務省は、「ウラン濃縮作業に着手した」と宣言し、北朝鮮に核技術を伝えたパキスタンのカーン博士も、「3千基以上の遠心分離器を稼動しており、小規模のウランは濃縮しただろう」と主張したが、半信半疑のムードだった。しかし、今月初めに訪朝したヘッカー氏が、直接、遠心分離器の稼動事実を確認したことで、北朝鮮の核能力は予想を越える水準であることが立証された。
原子炉という具体的な「現場」があるプルトニウム抽出方式と比べて、ウラン濃縮による核兵器は、地下の小規模な作業空間で密かに製造でき、放出される放射能も大変少なく、外部の監視が難しいという点で、深刻な脅威になる。黄海北道平山(ファンヘプクト・ピョンサン)と平安南道順天(ピョンアンナムド・スンチョン)にウラン鉱山があり、自給自足が可能で、精錬工場も黄海北道平山と博川(パクチョン)に2ヵ所ある。
●北朝鮮の意図は
北朝鮮が、遠心分離器を公開したのは、瀬戸際戦術を通じて、今後始まる交渉局面で優位に立つという意図とみえる。北朝鮮は、オバマ米大統領の就任式が行われた昨年1月20日、平壌(ピョンヤン)近隣の山陰洞(サンウムドン)研究所で、長距離ロケット2基を列車で運ぶ様子を意図的に公開し、「北朝鮮式圧迫」を始めた。この方法に効果がないと、昨年4月には、長距離ロケットを発射し、5月には2回目の核実験を強行するやり方で、圧迫の強度を上げた。ワシントンの外交筋は、「核のない世界の実現を外交安全保障の至上課題に設定し、核拡散を『レッドライン』と見なしている米国を交渉の場に復帰させるための戦術とみえる」と分析した。
問題は、オバマ政府がはっきりと打ち出した「悪行に対しては補償しない」という原則。北朝鮮が国際社会のルールを無視し、核兵器の開発に乗り出す状況で、対話を再開すること自体が、北朝鮮に一種の補償を与えるという認識が強い。米国の外交関係者の間では、今回の遠心分離器の公開が、北朝鮮が非核化に真摯さを示すのではなく、核開発に力を入れていることを証明したという批判論が早くから出ている。
●新たな危機作り、苦慮する韓国
北朝鮮は、ヘッカー氏のほかにも、最近、訪朝したプリチャード韓米経済研究所(KEI)所長にも、ウラン濃縮は、軽水炉開発の発電のためだという「平和的目的」だと説明したという。しかし、北朝鮮は、核実験後の国連の対北朝鮮制裁決議案1874号によって、すべての核活動が禁止されており、関連国際法をすべて破ったというのが、韓国政府の判断だ。政府が最近、6者協議は非核化分野で、天安(チョンアン)艦は別のルートで謝罪を受ける方法で、懸案を分離してアプローチしてきたが、結局、北朝鮮からは否定的な回答を聞くことになったわけだ。
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