日本政府が今月7日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)で日本の巡視船と衝突した疑いで逮捕された中国の船長を裁判にかけずに釈放すると、昨日発表した。日本の検察は、「疑いは明白だが、わが国民への影響や今後の日中関係を考慮して『処分保留』決定をすることにした」と明らかにした。本欄は四日前の21日、「紛争地域の偶発的な事件がアジアの両強国の地域覇権の争いに飛び火してはならない」とし、両国に自制と協力を促した経緯がある。日本内で今回の決定に対する反発も少なくないが、日中葛藤はとりあえず収拾に向かっている。
日本、中国、台湾が全て領有権を主張している尖閣諸島は現在、日本が実効的支配をしている。日本の領有権を認めていない中国は逮捕された自国船長の無条件釈放を要求し、連日全方位的な対日強攻策を打ち出した。中国は高官会談で協議しようという日本の提案に対し、「主権問題は決して譲れない」と強硬一辺倒だった。日本は米国の「側面支援」まで受けたが、経済に与える悪影響などを懸念して中国の働きかけに事実上お手上げの状態。
今回の騒動は中国の国力と国際的な地位がどれほど強くなったかを浮き彫りにした。30余年間経済発展に拍車をかけてきた中国は最近、日本を抜いて世界2位の経済大国に浮上した。米国と共に主要2カ国(G2)の座を固めた中国は、2025〜30年になると、米国まで抜いて世界最大の経済大国に浮上すると見通されている。中国が政治と外交の対立をできるだけ経済問題に結びつけないという政経分離の原則を捨てて、日本を圧迫したのはこのような自信と無関係でなさそうだ。米国を覇権国家と見てきた中国のまた別の覇権意識を窺わせる。
中国の温家宝首相は23日、国連総会の基調演説で「1人当たりの国民所得からすると、中国はまだ先進国の10分の1に過ぎない開発途上国」と述べて、国際社会の警戒心を和らげようとする姿勢を取った。実際、国民の暮らしの質や人権・言論の自由という側面から見ると、中国は真の大国とは言いがたい。しかし、国同士の競争では1人当たりの所得より全体の経済規模がもっと重要だ。
中国がどのような出来事を機に対韓経済制裁に乗り出したら、中国への依存度が高くなった韓国経済は衝撃を受ける懸念が高い。韓国経済の実力を育て続ける一方、交易の多角化を通じ、過度な中国依存を低める必要がある。大国主義と中華思想が強い中国が経済力と独自的な外交力をベースに声を高めていく現実は、我々にさらに緊張しろというシグナルを送っている。国家間関係で力のない正義はほとんど通用しない。