陸軍本部は、朝鮮戦争2日前の50年6月23日、軍用米の不足を理由に、将兵の外出・外泊を積極的に実施するよう指針を下し、非常警戒令を解除した。融和ムードの中、前方の一部師団の捜索部隊の偵察による戦争兆候の報告は黙殺された。韓国軍は、全将兵の3分の1が部隊を離れた状態で、北朝鮮軍の全面的な奇襲を受けた。中国の隋煬帝は、高句麗侵攻の際、兵士に少量の食糧を携帯させ、それ以降、水軍が食糧を供給するようにしたが、水軍が高句麗軍に敗れ、食糧を供給できなかった。
◆民主党の朴智元(パク・チウォン)非常対策委代表が、「北朝鮮も、一定量の軍用米を持っているだろうが、韓国から送ったコメではないだろう」と話した。北朝鮮に送るコメが備蓄米なので、1年以上保管できないという理由を挙げた。与党ハンナラ党の金武星(キム・ムソン)院内代表の「北朝鮮が、戦争備蓄米として100万トンを保有」という発言に対する反論だ。朴院内代表は、9日には玄仁澤(ヒョン・インテク)統一部長官の「対北朝鮮米1万トン支援方針」の発言に対し、「玄長官の家族に送れ。このような(コメ支援に消極的な)統一部なら、なくてもいい」とも述べた。
◆コメは、とうもろこしに比べ、保管期間が長く、軍用に転用しやすい。韓国側が、07年に北朝鮮に提供した米40万トンも、軍用米への転用疑惑が提起された。08年には、北朝鮮軍部隊で、大韓赤十字社のマーク入りの米の麻袋約400袋が、韓国によって発見された。北朝鮮では、コメは全国の軍用米倉庫「2号倉庫」をまず満たし、その際、2号倉庫にあった古米が市場に流れたという。
◆韓国が送るコメを軍人に与え、その代わりに北朝鮮で生産したコメを軍用米として備蓄することもできるだろう。00〜07年の間に、政府が北朝鮮に送ったコメは240万トンに達するが、脱北者からは、韓国が支援したコメを食べたという証言はない。金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は、毎年数十万トンのコメを送りながら、「分配の透明性」の確保を疎かにした。天安(チョンアン)艦を沈没させても、謝罪すらしない金正日政権の軍人らに、韓国が軍用米を送ることは、考えただけでもぞっとする。
方炯南(パン・ヒョンナム)論説委員hnbhang@donga.com