ソウル市が今年1〜7月に取り立てた不動産の取得税・登録税は1兆7368億ウォンで、当初予想した金額の2兆81億ウォンより2713億ウォン(予想金額の13.5%)も足りなかった。取得税・登録税は、全体税収の30%を占める。企画財政部(財政部)は今年予算を編成する際、全国で地方税収が52兆6000億ウォン取り立てられるものと予想したが、不動産景気の低迷により、47兆9000億ウォンに止まるものと最近見直した。財政部は来年から3年間状況があまり変わらないと見て、税収予想額を毎年5兆ウォンぐらい縮小していた。
税収が縮小すると、ソウル市など広域自治体は自体の予算だけでなく、取得税・登録税の半分を自治区に配る交付金を削るしかない。自治体が従来のようにむやみに事業を展開したら、事実上破産状態に陥りかねない。自治体が発行した地方債の残額は、09年の1年だけで34%増え、25兆5500億ウォンまで跳ね上がった。行政安全部(行安部)が景気刺激のため自治体に限度枠以上の地方債の発行を許可したためだ。
米カリフォルニア州は税収不足で財政赤字が拡大したら、保有不動産と家具まで競売に付している。公務員は強制無給休暇に入り、刑務所は費用を減らすため、収監者を早期釈放した。韓国には自治体破産制度がないため、自治体の金庫が底をついたら、中央政府が引き取ることにいる。しかし、豪華な庁舎の建築や過度な蓄財など、ずさんな財政運用をしてきた自治体にまで国民の税金を与えるわけにはいかない。
行安部は自治体の財政危機に備えて危機管理プログラムを作っておく必要がある。財政難が予想される自治体は果敢な構造調整に取り組まねばならない。競争するかのように設立した地方公社を統廃合したり、整理して経常経費を減らさなければならない。仁川(インチョン)市は、土地鉄道本部と仁川メトロを統合すれば、年間150億ウォンの人件費削減が期待できると明らかにした。行安部は、構造調整をきちんと行った自治体とそうでない自治体を区分し、国庫補助金に差をつけて支援するやり方で、コスト削減の競争を誘導しなければならない。
地方議会の責任も大きい。豪華庁舎の建設による後遺症でモラトリアム(支払い猶予)が騒がれた京畿道城南市(キョンギド・ソンナムシ)は、多数党のハンナラ党議員が市庁舎移転予算案を便法で成立させ問題をさらに大きくした。自治体への監査を諦めたまま、挙手機(採決の際、自身の意思を持たずに機械的に挙手して賛成する人)に転落した地方議会が変わらなければ財政危機を事前に遮断し難い。ずさんな財政運用の被害はそのまま住民に降りかかるしかない。