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李政権の「経済成長」戦略、庶民寄り政策の標榜で後回し

李政権の「経済成長」戦略、庶民寄り政策の標榜で後回し

Posted August. 19, 2010 03:27,   

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李明博(イ・ミョンバク)大統領は、今年の8・15光復節の記念演説で、政権下半期の国政運営の中核価値に「公正な社会」を提示し、「敗者に機会が与えられ、庶民と弱者が不利益を被ることがない社会になるべきだ」と述べた。政府省庁は、これを昨年6月から李大統領が強調してきた庶民寄り中道実用政策の基調を一層強化したものと受け止め、庶民政策を矢継ぎ早に打ち出している。

早ければ今月末、枠組みが明らかになる「10年税制再編案」も零細自営業者や中小企業、庶民への税制特典を増やす方へ焦点が置かれるものとみられ、庶民と密接に関わっている品目に対し、談合調査も厳しく行われる見通しだ。反面、富裕層への特典と判断される政策は、例外なく順位が後回しにされた。

政策の傍点を「庶民」にしたことにより、副作用も現れている。一部の公務員は、「分配を強調した盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権へ逆戻りしたようだ」と首を傾げた。党・政府・大統領府の足並みが揃わない政策が打ち出されたり、ポピュリズムと批判される政策もみえる。

●矢継ぎ早に打ち出される庶民寄り政策

保健福祉部は最近、保育政策、雇用創出、脱貧困自活政策、福祉死角地帯の解消といった4部門で、後続措置を講じている。代表的なものとして、基礎受給対象者の基準となる所得基準を現行の243万ウォン(4人家族基準)から280万ウォンへ拡大し、対象者を増やす方策を検討中だ。

雇用労働部は、貧困層と貧困危険に直面した低所得層の雇用支援のための「就業成功パッケージ」政策を強化することにした。就業成功パッケージ制度は、個人別の就業力量を正確に診断し、これにより、約1年間、集中的に就業を斡旋する政策だ。

女性家族部は最近、天安(チョンアム)艦事件の遺族のように大きな危機に直面した人々に対し、子どもの世話を見たり、相談治療プログラムを提供する「家族ボドゥム(抱え込んで支えるという意)事業」を来年から施行する計画だと発表した。また、幼稚園や保育園に子どもを預けることに対し、経済的な負担を感じる庶民のため、「共同育児分かち合いの場」を活性化する方針だと発表した。

教育科学技術部は、放課後、拠点学校を強化し、私教育費を抑制する政策をさらに積極的に推進することにした。拠点学校は近くの学校3〜4ヵ所をグループ化し、このグループの生徒が同じ学校に集まり、勉強するようにするということだ。

政府は、来月まで関係省庁が合同で構造的物価対策、青年雇用総合対策、大中小企業共存対策などを発表する予定だ。

このような庶民寄り政策は、既に昨年中旬から政府の主要政策基調に据えられた。昨年8月発表された税制再編案の主要再編内容の初ページを飾ったのが、「庶民・中産層向けの税制支援の拡大」だった。企画財政部は、廃業した零細個人事業者が再び事業を始めた場合、未納付の税金500万ウォンを免除し、小規模誠実事業者に対する税金納付猶予期間を現行の9ヵ月から18ヵ月へ増やすという内容を一番先に発表した。

●中小企業支援政策も相次ぐ

李大統領が庶民を強調した以降、中小企業への直接・間接的な特典も続出している。知識経済部は、政府支援の国策事業に参加する企業は、必ず中小・中堅企業を多数含めたコンソーシアムの形でのみ参加できるようにした。大企業が主導するコンソーシアム同士で競争する場合、中小・中堅企業の参加が高い方へ加算点を与えることだ。実際、最近、中大型2次電池開発関連の国策課題で、技術力がより高いと評価されるLG化学コンソーシアムを抜き、三星(サムスン)SDIコンソーシアムが選定されたのが代表的な例だ。LG化学は、三星SDSより中小企業の参加が少なく、総点数で遅れを取った。

行政安全部は、零細小商工人と小企業に対し、地方税の税務調査を3年間猶予する方針だ。

公正取引委員会は、大企業と中小企業の下請け問題を集中的に調査している。今月末までに納品単価の引き下げの正当性を大企業に立証させる内容などを含めた大・中小企業下請け対策を発表する予定だ。

相当数の経済学者は、「中小企業の競争力を高めるためには、かえって構造調整に拍車をかけるべき」と主張してきたが、「票」を意識せざるを得ない政治家に「中小企業構造調整」は簡単でない課題だ。経済省庁からも、中小企業に一方的な支援を行う政策が構造調整を妨げているという批判的な声が出ているが、庶民寄り政策の基調に埋もれた状態だ。

匿名を要請した経済研究所の研究員は、「政権初期、成長中心の経済政策を展開した李大統領が6・2地方選挙の敗北の後遺症により、庶民と中小企業に集中するポピュリズム政策を打ち出している。これは伝統的な支持層まで失いかねないリスクがある」と話した。

●政策の乱れで不確実性増大

庶民を国政のキーワードとし、強調しているため、富裕層への特典政策は見送られている。

国会企画財政委員会は昨年末、租税小委を開き、法人税の課税標準(税金賦課の基準金額)2億ウォン超過区間の税率を22%から20%へ引き下げることにした政府案を2年間猶予することで最終決定した。財政健全性の悪化が表向きの理由だったが、企業に過度な特典が届きかねないという心理も働いたものとみられる。結局、減税を前提に投資費を計算していた企業は、計算しなおさなければならない羽目になった。

総合不動産税、多住宅者への重課など、政府がメスを入れることを明らかにした税制も「お金持ちのための減税」という批判のため、改正作業が遅々と進んでいない状態だ。MBノミクス(李大統領の経済政策)の中核だった減税政策にブレーキがかかったことで、MBノミクスのアイデンティティも挑戦状を突きつけられている。

政策同士で衝突したり、与党と政府、大統領府の間で足並みが乱れるケースも発生している。

公企業の青年人材雇用が、大統領府と政府の足並みが乱れた代表的なケースだ。李大統領は9日、ラジオとインターネット演説で「公企業が、有能な青年人材をより多く雇用する方策も、現在検討している」と述べた。しかし、これは、財政部が推進する公共機関の先進化対策と衝突する。財政部の関係者は、「公共機関の先進化を推進し、公企業の定員を10%以上減らしたのに、青年をさらに雇用せよというのは話のつじつまが合わない。大統領の発言の真意を把握している」と話した。

政府公務員が、政策の方向を決められず右往左往すると、市場は更なる混乱に陥る。聖信(ソンシン)女子大学のダン・ソクフン経済学科教授は、「外部の環境が変わることにより、政策の優先順位が変わることはあり得るが、過去の政策を覆してはならない」とし、「そうなると、企業が何より嫌がる不確実性を政府が助長することになる」と指摘した。



lovesong@donga.com imsun@donga.com