サッカーワールドカップ大会で熱気が熱くなればなるほど、笑うグローバル企業がある。現代起亜(ヒョンデ・ギア)自動車はアディダス、コカコーラ、ソニー、ビザカード、エミレーツ航空のような国際サッカー連盟(FIFA)の公式スポンサーだ。
オリンピックよりテレビ中継の視聴者が多い上、五輪とは異なり、スタジアム内に広告を設置できるワールドカップマーケティングは、それ自体が一つの戦争だ。
天文学的な費用がかかると予想されるだけあって、スポンサー企業になるため、どれぐらいの金額が必要で、その効果はどれぐらいなのか、正確に知ることはできない。FIFA公式スポンサー企業6社のうち、唯一の韓国企業である現代起亜から、今回のワールドカップマーケティングのまつわる話を聞いた。
●どれぐらいの費用をかけ、どれぐらいの効果を手にできるか?
現代車がFIFA公式スポンサー企業となったのは、1998年のワールドカップ、フランス大会からだ。それまでスポンサーをやってきたオペルが、米自動車メーカー、ゼネラルモーターズ(GM)に買収され、ワールドカップから手を引くと、現代車やトヨタ、ベンツがFIFAを訪ねていた。02年の韓日ワールドカップ共済を控えていた時期だけに、トヨタのスポンサーへの意気込みは並大抵なものではなかったが、FIFAは現代車と手を組んだ。その後、現代車は引き続き優先契約権を行使し、14年までの公式スポンサー資格を獲得した。
06年のドイツ大会を控え、ベンツは現代車に対し、「ドイツで開催されるイベントだけに、今回だけは我々にスポンサー企業としての権利を譲ってほしい」と「訴える」内容の手紙を送ったというエピソードもある。もちろん、現代車は断った。ワールドカップだけのスポンサーではなく、FIFA後援会社であり、ワールドカップ以外の欧州サッカー選手権大会(ユーロ)なども後援しているためだ。
公式スポンサー企業になるためにかかる費用は、FIFAの要求により、徹底的に対外秘となっている。マーケティング効果がどれぐらいか、正確に知る方法はない。ただ、試合が世界向けに中継される時、スポンサー企業のブランドが露出される時間や視聴者の数などを根拠に、マーケティング効果を計算することができる。
現代車側は、239カ国で800億人が、テレビでワールドカップを視聴したという数字を根拠に、06年のドイツ大会当時の放送露出効果を約9兆ウォンと計算した。広告運営方式が、公式スポンサー企業にとって一段と有利になった南アフリカ大会では、4年前より放送露出効果がさらに高まるものとみられる。
国内市場より、欧州や中南米など海外市場を狙うという側面から、韓国チームの成績は、マーケティング効果にはさほど影響を及ぼさない。それよりは、強豪チームが決勝トーナメントに進出し、大会が面白くなり、その中でも欧州チームが善戦するほど、マーケティング効果は高まるという。
●北朝鮮でもイベントを?
06年当時、放送露出効果の9兆ウォンの中には、スタジアムで試合観戦した人々や、公式スポンサー企業が行ったさまざまなイベントによるマーケティング効果などは含まれなかった。現代起亜車は、南アフリカ大会を後援しながら、世界でさまざまなイベントを開催し、とりわけ、「代表チームのスローガン公募」で、かなりよい効果を収めたという。
ワールドカップの決勝トーナメント進出国にある現代起亜車の代理店では、地元の人々からのアイデアを募り、その国の国家代表チームのスローガンを決めた。該当国のサッカー連盟やFIFAが共同で審査を行い、公式スローガンを決め、そのスローガンは現代起亜車が各国代表団に提供する選手移動用バスの側面に、現代起亜車のロゴと共に印刷される。
韓国チームのスローガンは、「勝利は喚声、一つとなった韓国」であり、韓国の26日の決勝トーナメント第1戦の対戦国であるウルグアイチームのスローガンは、「太陽は我々に注ぐ。ウルグアイ、ファイト!(The sunshines upon us.Go Uruguay!)」と決まった。
本大会出場32カ国のうち、現代起亜車の代理店がある国は31カ国。同イベントができなかった唯一の国はほかならぬ北朝鮮だった。現代起亜車は悩んだ末、この問題をFIFAに依頼し、結局、北朝鮮サッカー連盟とFIFAが共に、北朝鮮チームのスローガンを、「再び1966年ように、朝鮮よ、勝利せよ!」に決めた。直径4メートルの大型サッカーボールに、本大会出場国の国民にサインを書かせた後、南アフリカで展示する「グッドウィルボール」イベントも、北朝鮮ではまともに行われなかった。
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