Go to contents

[社説]司法改革、本質のない主導権争い

[社説]司法改革、本質のない主導権争い

Posted March. 20, 2010 03:01,   

한국어

裁判官の人事と量刑制度などに関する与党ハンナラ党の司法制度改善案を最高裁が真っ向から批判した。最高裁は18日、朴一煥(パク・イルファン)法院行政処長が発表した声明で、「司法府に対する最小限の礼儀と尊重の心まで失った処置だ」とし、司法改革の主体は、司法府であると強調した。「PD手帳」などの敏感な事件に対する一部の若い判事の相次ぐ無罪判決を機に噴出した政界の司法改革要求に、プライドが傷つけられた司法府が抗弁をしたと見ることができる。

ハンナラ党の司法制度改善案の一部の内容は、司法権の独立の根幹を揺るがす素地もあるという点で、司法府の憂慮もある程度理解ができる。ハンナラ党案には、現在14人の最高裁判事を24人に大幅に増やし、8人以上を非裁判官出身から起用し、法務部長官らが推薦する外部の有識者6人と裁判官3人で構成される裁判官人事委員会が、人事の内容を決定するという内容が含まれている。最高裁量刑委員会を大統領直属の機構に変更することも、論議の対象だ。ややもすると、司法府の独立を揺るがす内容なので、十分な議論と熟考が必要な懸案だ。ハンナラ党が数の力で押し通すことではない。

にもかかわらず、朴処長の意見表明が、司法府と政府または政権との軋轢、与野党間の政争、さらに、司法波紋の震源として作用しないか懸念される。「一流国家を目指す韓国の品格にもふさわしくない」といったいくつかの表現には、冷静な論理展開というよりも、平常心を失った感情がうかがえる。裁判権は司法府にあるが、立法権は国会にあるという点で、相互尊重が望ましい。最高裁長官直属の諮問機構である司法政策諮問委員会(委員長=李洪九元首相)が、いくら良い案を作っても、国会の審議を経て法として制定してこそ、実行することができる。

ハンナラ党の司法制度改善案は、それこそある一政党の案にすぎない。与野党の議員で構成された司法改革特別委員会の議論が残っている。民主党などの野党も改善案を出すだろう。この過程で、司法府が作成した改善案もともに議論する機会がいくらでもある。これまで、数回の司法改革の試みが何度も失敗したのは、司法府が主体だったためだという指摘を謙虚に受け止める必要がある。10年以上、検事、弁護士、法学専攻の教授といった経歴者の中から裁判官を任用する経歴裁判官制にしても、司法府自ら差し出すことは難しい案だ。

国会も、三権分立の精神を尊重し、司法府の見解を十分に聞いて配慮する姿勢が必要だ。司法府とハンナラ党の言い争いは、司法改革の本質を忘れ、主導権争いにだけ没頭する様相として国民の目に映る。