北朝鮮は平壤(ピョンヤン)などの8つの都市を経済特区に指定し、道路や鉄道などのインフラ投資を担当する政策金融機関を新設する内容の新経済政策を推進していると、日本経済新聞が2日付で報じた。また、外国企業や外資誘致に向け、経済特区内での税政優遇措置も検討しているという。
同紙によると、北朝鮮はまず、8都市を経済特区に指定し、各都市に対し重点的育成産業を指定した。8都市は、平壤(ハイテク産業)、南浦(ナムポ=医薬品、食用油)、新義州(シンウィジュ=軽工業、紡績)、元山(ウォンサン=造船)、咸興(ハムフン=石炭化学)、金策(キムチェク=冶金)、羅先(ナソン=石油化学)、清津(チョンジン=重工業)となっている。これと共に、8都市を繋ぐ道路や鉄道を大々的に整備するなど、インフラへの投資も拡大することを決めた。
特区の育成やインフラ整備にかかる費用は、税政優遇を通じた外資誘致で解決する構想だという。同紙は、北朝鮮の貿易省管理者の話として、「エジプトやフランス、ベトナムなどが投資に意欲を示している」と伝えた。また、新経済政策を事実上主導していると言われている「朝鮮大豊(テプン)国際投資グループ」(大豊グループ)の関係者は、「先進企業から先端農業技術の支援を受ける代わりに、これらの企業に対し農地を貸す案も検討している」と明らかにした。大豊グループは、金正日(キム・ジョンイル)総書記の側近である金養建(キム・ヤンゴン)朝鮮労働党統一戦線部長が初代理事長を務めている会社。傘下には国家建設銀行や国家投資信用保険会社などの金融会社や鉄道・道路・農業など25の事業会社を持っている。
北朝鮮はこれと共に、円滑な外資誘致に向け、政府が資金保障の責任を持つ国策銀行である国家開発銀行を今月中旬に設立する計画だ。中国が1994年に国家開発銀行を設立し、西部大開発などのインフラ整備や農村活性化の効果を上げた事例を参考したものだ。国家開発銀行は、資本金が100億ドルで、持分は政府や大豊グループがそれぞれ70%と30%を所有する。
北朝鮮の新経済政策は、中国の改革開放モデルを多く取り入れたもので、北朝鮮の開放意思を国際社会にアピールするための措置と見られる。中国が改革開放の初期に経済特区に限定して行っていた関税減免措置が、1990年代以降は中国全域に拡大されたように、今回の政策は北朝鮮の改革開放に繋がる可能性があるという。しかし、北朝鮮が今回掲げている特区指定や外資誘致の構想は、すでに1991年、羅津先鋒(ナジンソンボン)地区を経済特区に指定したときに切り出したカードで、新たな政策変化とは言い難いという見方もある。
延邊(ヨンビョン)大学・社会学科学院のカン・ヨンボム院長は、「北朝鮮は、李明博(イ・ミョンバク)政府発足後、援助が減り、『瀬戸際作戦』がこれ以上通じないことを学んだ」とし、「究極的に中国モデルを採用するかをめぐって内部での議論が白熱しており、結果を予測するのはまだ早い」と話した。
一方、大豊グループの朴チョルス総裁兼常任副理事長は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)機関紙である「朝鮮新報」が2日付で報じたインタビューのなかで、「大豊グループは、政府予算とは別に、港湾や電力などの6つのインフラ整備事業を推進している」と説明した。そのうえで、5年内に平壤〜新義州、平壤〜元山〜羅先、平壤〜開城(ケソン)、惠山(ヘサン)〜金策間の鉄道や道路を画期的に改善する計画であると明らかにした。
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