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[オピニオン]判事と社会経験.

Posted February. 05, 2010 08:43,   

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エドワード・デビッド米連邦判事は1979年、新任裁判官らに向けた十戒を作った。親切にせよ、忍耐せよ、威厳を持ちなさい、自己陶酔にはまるな、などと共に「常識(common sense)を尊重せよ」が含まれている。豊富な経験や自己への修練無しでは、実践が難しい内容ばかりである。国内のあるベテラン法曹関係者は、新任判事らに対し、常に先輩裁判官らの豊富な経験から学ぶことを強調し、「馬鹿な先輩だと見下してはだめだ」とアドバイスしたという。検事と弁護士の中から判事を選抜する米国や、10年間も判事補を経るように定められている日本の制度は、判事の経験、キャリアがどれほど重視されているかを示している。

◆昨年、韓国の新任判事92人の平均年齢は28.8歳だった。05年に29.7歳だったのが、女性新任判事の比率が高まり、下がり続けている。新任判事の43%は27歳以下であり、25歳の女性判事も5人だった。大学時代から司法試験の勉強に全力を傾け、合格した後は2年間、司法研修院での過程を優秀な成績で終えたエリートたちである。しかし、男性新任判事らの軍法務官としてのキャリアを除けば、ほとんどは勉強を除き、たいした経験もないまま、判事となる。

◆姜基甲(カン・ギガブ)議員の国会での暴力や、MBC番組「PD手帳」の歪曲報道を巡る無罪判決は、判事の資質や経験不足を巡る議論を増大させた。司法試験や司法研修院での成績順で、若い判事を量産しており、社会への理解不足により、国民の法律感情や常識とはかけ離れた判決が多く出ている、という分析も説得力を得ている。最高裁長官の諮問機構である司法政策諮問委員会が、弁護士や検事経験者の裁判官への任用を増やし、ロースクール(法科大学院)出身の中から、2年以上、裁判研究官を経験させた後、裁判官に任用する制度を提案したのも、そのためである。

◆人や世間を取り巻く経験が豊富で、理解の高い裁判官であるほど、ミスは減り、傲慢や独りよがりに陥る可能性は少ないことから、導入を巡り積極的に検討するに値する。しかし、1998年から07年にかけて行った予備判事制度の失敗からも教訓を得なければならない。判事不足が、予備判事制度を中止する理由となったが、司法試験の同期である検事との差別を巡る判事らの不満が主な原因となった。司法研修院を最優秀成績で卒要した人々が、判事という名誉の代わりに、法律事務所に詰め掛けている現実も考慮しなければならない。

権順澤(クォン・スンテク)論説委員 maypole@donga.com