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[オピニオン]2つの「ならず者国家」の貨幣改革

[オピニオン]2つの「ならず者国家」の貨幣改革

Posted February. 04, 2010 09:34,   

南米のベネズエラは1月8日、「ブラックフライデー」自国の通貨切下げ政策を電撃的に発表した。生活必需品の輸入の際に為替レートをドル当たり2.15ボリバルから2.60ボリバルへと17%、生活必需品ではない商品は4.30ボリバルで50%切り下げている。11日の月曜日からスタートするという放送が流れるやいなや、人々は商店に押し寄せた。銃で武装した兵士たちは、「商品の値段を引き上げると商店を没収する」と厳しく目を光らせている。ところが1ヶ月もしないうちに物価が2倍に跳ね上がり、国民は不満を募らせているという。それを尻目にウゴ・チャベス大統領は2日、就任11年目を自ら祝い、「これからも11年間は引き続き頑張れる」と意欲を見せた。

◆今回の措置の狙いは、放漫な国政運営で底をついた赤字財政を穴埋めするためだ。ボリバル安になると、原油輸出による外貨収入が増加するからだ。この数年間は、原油高に支えられてチャベス大統領の人気も極めて高かったが、世界的な金融危機で状況は一変した。「21世紀の社会主義」を掲げるチェベス大統領は、市場と企業たたきに終始し、石油産業への投資はおろそかにしてきた。水より石油が豊富な国なのに、水と電気がはるかに不足しているため、閉店に追い込まれるガソリンスタンドが相次いでいる。人々の購買力も11年前より低下した。

◆それでも、ベネズエラからは餓死する人のニュースは聞こえてこない。北朝鮮は昨年11月、旧紙幣と新紙幣を100対1に交換した後、コメ価格が10倍以上跳ね上がる超インフレーションが発生した。対北朝鮮人権団体の「よき友人たち」は、「咸鏡南道端川市(ハムギョンナムド・タンチョンシ)で飢え死にする人がもっとも多く出た」と伝えた。市場を取り締まっていた保安員と住民たちの激しい衝突の末、ある住民が銃を奪い乱射する事件もあったという。金正銀(キム・ジョンウン)後継体制の確立に向けた地ならしは失敗に終わりそうだ。

◆二つの「ならず者国家」は、政権の危機を乗り越えるため、生憎にも似たような時期に貨幣価値の切下げ政策に踏み切った。両国とも、破滅的なインフレを抑えるのが最優先課題だった。労働者たちを保護するとして、最低賃金の25%アップ(ベネズエラ)と賃金の100倍引き上げ(北朝鮮)措置を取ったのも共通している。二つの独裁政権は労働者向け経済の一点張りだが、貨幣改革で物価が暴騰し、貧しい労働者たちがその影響をもろに受けている格好だ。

金順鄹(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com