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[社説]世宗市、争って潰れれば、被害は市民に

[社説]世宗市、争って潰れれば、被害は市民に

Posted January. 12, 2010 08:51,   

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鄭雲燦(チョン・ウンチャン)首相が世宗(セジョン)市修正案を発表した11日、忠清南道燕岐郡(チュンチョンナムド・ヨンギグン)一帯には、賛成と反対に分かれたプラカードが貼られていた。「原案死守、修正不可」、「行政都市死守、決死闘争」など修正案反対のプラカードとともに、「歓迎、修正案、新しい世宗市燕岐、発展の希望」という賛成のプラカードも目についた。

政府の修正案発表があった11日午前11時20分、現地のムードを知るために世宗市に向かった。ソウル光化門(クァンファムン)から車で出発し、忠清南道燕岐郡の政府庁舎に到着したのは3時間後の午後2時20分だった。原案どおり行政省庁が世宗市に移転する場合、長官・次官や公務員がソウルとの往来でもたらされる非効率を予感するのに十分だった。

政府が11日に発表した世宗市修正案は、政府の9部2処2庁の移転が中心だった原案の代わりに、世宗市をアジアのシリコンバレーに育成する多彩な計画を取り入れた。三星(サムソン)、ハンファ、熊進(ウンジン)、ロッテなど大企業が参加する先端グリーン産業地区、国際科学ビジネスベルトの核心施設や高麗(コリョ)大学、KAISTなど大学を誘致し、世宗市を国家の未来新成長動力のメッカにするという構想だ。特に、代替エネルギーやバイオなど、未来の成長エンジンになる産業はもとより、教育・研究・技術・創業・グローバル企業の連携が、世宗市ですべて可能になるよう設計した未来型先端都市だ。鄭雲燦首相は、「世宗市建設は、政治的信義の問題以前に重大な国家大事業だ」と指摘し、「これを決める基準は、どの案が国民と国家の利益を極大化するかということでなければならない」と主張した。

欧州連合(EU)は、向こう10年間、欧州を最も競争力のある地域にする「2020戦略」会議を来月開く。欧州は10年前にも、「2010年までに最も競争力のある欧州を作ろう」と「リスボン戦略」を掲げたが、失敗した前歴がある。欧州委員会はこれを繰り返さないために、グリーン産業と高等教育に焦点を合わせたテクノロジーを強調した。このような世界的な流れを考慮するなら、世宗市の先端科学教育都市の方向は、望ましいと考えられる。

野党は、原案と修正案をすり合わせる努力せず、反対闘争ののろしを上げた。丁世均(チョン・セギュン)民主党代表は、「李政権は、世宗市の白紙化を筆頭に、革新都市と企業都市の無力化にも着手しており、座視できない」と主張した。自由先進党は、「世宗市原案修正は、歴史上最悪の政策失敗に記録されるだろう」と主張し、鄭首相解任建議案を進める考えだ。断髪式までし決意を新たにした。

世宗市修正案が、国家均衡発展に役立たないとか、最悪の政策失敗と記録されるという野党の発言は、目前に近づいた地方選挙を意識したものだ。しかし、そのほかの地域の世論は、野党の主張に批判的な流れを見せている。忠清南道大田(テジョン)地域では、行政省庁の移転が重要だという世論が優勢だが、修正案の発表を機に世論の変化の可能性もうかがえる。

忠清南道は、修正案に対し、「人口流入の促進と地域住民の雇用創出に結びつき、地域経済の活性化や国家均衡発展の契機になるだろう」という反応を見せた。大田地域の代表的な修正反対論者だったある教授は、「修正案自体はいい。地域の発展に役立つだろう」と肯定的に評価しながらも、「問題は信頼だ」と述べた。燕岐郡のあるレストラン店主は、「企業が来ることが雇用や個人事業のためになるだろう。地域の人々の考えやレストラン客の声を聞くと、政治家の主張とは違うようだ」と民心を伝えた。

韓国の経済発展と産業化の成功の歴史は、国策事業に対する政治的反対を克服したことによって、可能となった。野党が反対した重要国策事業は、68年の浦項(ポハン)総合製鉄建設と今年開通40周年を迎える京釜(キョンブ)高速道路の建設が代表的だ。昨年末、韓国が、アラブ首長国連邦(UAE)に原子力発電所の輸出に成功したが、59年、1人当たり国内総生産(GDP)が300ドルだった時に原子力発電を始める際、多くの批判と反対を押し切らなければならなかった。国策事業への反対は、予測が困難なことも一因だが、大半が政治的・政略的な反対に対する反対だった。野党は、京釜高速道路、浦項製鉄、原子力発電といった恥ずべき反対闘争の歴史を増やすのではなく、全体の国益のための深い省察が必要だ。

地域主義政党や政派レベルの利害得失、特定政治家の次期選挙での有利・不利という次元の賛否両論は、国家の将来を考慮せず、行政省庁を分割し、特定地域の票を得ようというポピュリズム的弥縫策だ。米議会が、健康保険の真摯な議論で、健康保険法案を採決処理したことから、韓国議会は学ぶことが多い。

野党だけでなく、与党内でも親朴系議員の反対が強い状況で、世宗市の難題を解決する過程は、韓国社会と政治の水準を計るチャンスとなるだろう。国民は、世宗市問題が代議民主主義の枠組みで正常な対話と討論を経て、合法的な手続きと方法で結論に至ることを望んでいる。