医療債券発行や病院買収合併(M&A)の許容など、政府が今年、医療サービス産業の先進化に向け、推進すると発表した課題のうち、予定どおりに推進された政策は、皆無であることが分かった。先進化における主な課題の投資開放型医療法人(営利病院)の導入如何を巡る決定が見合わされている現状の下、他の課題にも拍車を掛けることができず、遅遅として進まないのが現状だ。
企画財政部(財政部)の当局者は17日、「昨年から発表した医療観光や教育、知識コンサルティングなどサービス産業の先進化対策のうち、今年末まで終了を決めた281の課題のうち、230件は終わったものの、5月に発表した医療部門の6件は、完了したのが一つもない」と語った。
財政部と保健福祉家族部(福祉部)が合意し、今年で終了を決めた医療サービス産業の先進化に向けた課題は、△医療債券の発行許容、△経済自由区域や外国医療機関の設立支援、△営利病院導入の決定、△病院経営支援事業の許容、△病院におけるM&Aの根拠作り、△医療紛争調整法の法制化などである。
政府は、自己資本や金融会社の借り入れだけに頼る病院の財務構造の改善に向け、病院が債券を発行することで長期間、低利資金を確保し、施設投資に活用する医療債券法を昨年10月、国会に提出した。しかし、同法は大手病院に対してのみ有用に働き、医療の二極化をあおることになるだろうと主張する野党や、一部の市民団体からの反発を受け、1年以上常任委で可決されずにいる。
経済自由区域での外国営利病院の設立を支援する経済自由区域特別法は、与党ハンナラ党の黃祐呂(ファン・ウヨ)議員などが発議し、昨年11月に国会に提出されたが、「健康保険制度に害を及ぼしかねない」という一部からの反発を受け、処理が遅れている。福祉部の関係者は、「従来の法に外国営利病院の設置根拠が設けられており、特別法は、具体的な手続きを補完するだけであるが、誤解しているようだ」と説明した。
福祉部が7月末、立法予告した医療法改正案を巡る反発も少なくない。同改正案は、病院の経営合理化に向け、M&A及び経営支援事業を認める内容が盛り込まれている。
これまで、医療関連法案を巡る処理が遅れた最大のネックは、営利病院だった。民主党の朴殷秀(バク・ウンス)議員は、10月初めの国政監査を控え、配布した資料で、「医療債券の発行、経営支援事業及びM&Aの許容は、医療機関を営利中心の株式型病院へと変えるための悪の3本柱だ」と規定した。営利病院の話題に押され、他の法案処理も進んでいない。
政府は、李明博(イ・ミョンバク)大統領が営利病院の問題について、「時間を持って十分議論せよ」と指示しただけに、営利病院の導入はしばらくた見合わせるものの、他の医療先進化政策に対しては拍車を掛ける方針だ。財政部の関係者は、「ひとまず、できることから急いで始めることに、与野党が合意した」とし、「営利病院と共に推進されれば、相乗効果が生じるだろうが、個別法律も少なからぬ意味を持っている」と話した。
しかし、一部の市民団体は、これらの政策は営利病院を認めるための手順と見ており、国会の中で円滑に処理できるかどうか、依然分からない。
また、営利病院が認められなければ、他の先進化に向けた課題が推進されても、きちんと機能を発揮することはできないだろうという指摘も多い。非営利法人が発行した債券が、市場で受け入れられるかどうか疑問であり、病院経営支援事業も、専門的な事業者が参入しない限り、医療産業の発展には大きく役立たないだろうという指摘である。韓国開発研究院(KDI)も最近、発表した報告書で、「営利病院の導入を巡る規制が、健康管理サービスのような統合的な医療サービスの発展を妨げている」と主張した。
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