グローバルな金融危機への対策として、昨年から各国が打ち出した景気刺激策の「効き目」が弱まり、世界経済に再び緊張が高まっている。危機から根本的に抜け出すためには、民間部門の回復が欠かせないものの、そのテンポは期待したほど進んでいないためだ。先週末、米証券市場はこのような不安心理の影響から2.5%下落し、2日の総合株価指数(コスピ)も5取引日連続で下落し、1559.09で取引を終えた。
今年初頭、各国はかつてない強い景気刺激策を打ち出し、世界経済を崩壊寸前状態から救うことにひとまず成功した。しかし、このような刺激策の効果は次第に終わりを告げ、これまで隠れていた本物の体力が現れている。これを受け、最近、韓国や米国などの各国の成長率は「つかの間の回復」を見せたのも、実は政府による刺激策に大きく影響された「上辺だけの回復」では、という懐疑論が出ている。
●刺激策終了と同時に景気指標悪化
米商務省によると、9月の個人消費支出は前月より0.5%減少し、5ヵ月ぶりに減少に転じた。米国の消費指標が急激に悪化したのは、燃費のよい新車を購入する際、約500万ウォンを現金で補償する「中古車への現金補償(Cash for clunkers)」制度が、8月末で終了した影響が大きかった。
米国内の9月の住宅新規販売も、前月比3.6%減となり、これも米政府が実施している「住宅購入における税金控除」がまもなく終わるためだという分析が大半を占めている。先週、発表された米国の第3四半期の国内総生産(GDP)の伸び率3.5%についても、同様の分析が出ている。米ホワイトハウスは、「景気刺激策が伸び率を3〜4%引き上げた」と分析した。結局、刺激策がなかったら、ゼロ、またはマイナス成長を記録しただろうという意味だ。
このように、政府による景気刺激の効果が次第に薄れていることを受け、米国では「2回目の景気刺激策」の実施をめぐる議論が、議会を中心に緊迫した状態で行われている。しかし、今年すでに7800億ドル(約920兆ウォン)に上る景気刺激策を組んだ政府は、膨大な財政赤字で頭を悩ませている。
比較的金融危機による被害が少なかったアジア諸国も、次第に人為的刺激策によるブーメランを警戒している空気だ。今年4兆人民元(約680兆ウォン)の景気刺激策を実施した中国政府は、資産バブルやインフレを懸念している。
●韓国経済、「単独回復」は厳しい情勢
「上辺の成長」は、第3四半期に2.9%という驚くべき伸び率を発表した韓国も例外ではない。特に、民間部門の雇用情勢は、依然として氷河期から脱せずにいる。9月の就業者数は、前年同月比7万人増えたが、これは政府の公共労働事業で、希望労働や行政インターンなどの公共部門だけで32万6000人が増加したことによるものだ。
一方、製造業(マイナス11万8000人)や卸小売飲食宿泊業(マイナス15万8000人)などの民間部門は依然として雇用が減り続けている。同月11%の伸び率を記録した鉱工業生産も、新車の効果や政府による税政支援によるところが大きい。
経済専門家らは、世界各国の刺激策が減速し、韓国経済も直撃を受けかねないと分析している。すでに、現代起亜(ヒョンデ・ギア)自動車の米現地での9月の売上高は、中古車への現金補償制度が打ち切られたことを受け、前月より47%も激減した。
三星(サムスン)証券の金學柱(キム・ハクジュ)常務は、「各国政府は、景気刺激策を実施する間、自生的に蘇るものと期待していた民間の経済が、持ち直す兆しを見せていない」とし、「財政負担のため、引き続き刺激策を実施することも厳しいだけに、世界経済はある程度、耐乏しなければならない時期に追い込まれている」と分析した。
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