北朝鮮の朝鮮中央通信は先月30日、韓国政府の「グランド・バーゲン」提案について、「我々が誰と国交正常化し、経済的支援を受けようとも、そのような間の抜けた提案を受け入れると考えるのは誤算だ」として一蹴した。さらに、朴吉淵(パク・キルヨン)外務次官は先月28日、国連総会の基調演説で、「核兵器を保有している間、核兵器の管理と使用、拡散防止と核軍縮問題で責任をもって行動する」と述べた。北朝鮮が、核廃棄どころか、今は露骨に核保有国として振る舞っている。
2日後には、慮武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領と北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が首脳会談を行ない、いわゆる「10・4首脳宣言」を発表して2年になる。同宣言には、南北経済協力をはじめ、韓国が負担しなければならない荷物が山積して含まれている。所要コストだけでも、約14兆3000億ウォンと推算される。韓国経済の36分の1の水準にすぎない北朝鮮の経済規模を考慮するなら、それこそ金の雷を落とすことだ。任期終了まで4ヵ月余り控え、次の政権に莫大なプレッシャーを与えた宣言だ。民族の災いになり得る北朝鮮の核については言及すらなく、韓国に一方的な負担だけを強いるこのような宣言を次の政権が額面どおり受け継ぐことはできない。
6者協議関連国との調整を経たグランド・バーゲンは、核廃棄と北朝鮮が望むすべてのことを交換するという提案だ。大規模な経済的支援や米朝国交正常化、さらに、金正日体制の保証まで含んでいる。訪韓したジェームズ・スタインバーグ米国務副長官は、「北朝鮮が(6者協議に)応じれば、莫大な機会が得られるだろう」と話した。北朝鮮がこれを拒否すれば、国際社会の苛酷な制裁を避けることはできない。北朝鮮は、賢明に判断しなければならないだろう。
中国の温家宝首相は、4〜6日の訪朝期間に、北朝鮮と経済、貿易、教育、観光分野で一連の協定を締結するという。言葉は協定だが、経済援助をするということだ。中国は05年10月、胡錦濤主席が北朝鮮を訪問した時も、20億ドル相当の援助をした。KOTRAによると、昨年の北朝鮮の貿易規模は38億2000万ドル(南北間取り引き除外)で、そのうち73%が中国との取引だった。
北朝鮮に大きな影響力を持つ中国が協力しなければ、北朝鮮の核廃棄に向けた国際社会の協力が実効を得ることは難しい。中国の対北朝鮮支援は、いかなる場合にも国際協力を維持し、北朝鮮の核廃棄を実質的に誘導するうえで役立つ方向で行なわれなければならない。