大韓民国は、植民地と戦争、そして絶対貧困を克服し、短期間で産業化と民主化を達成したことで、世界からの賛辞を受けている。多くの国民が3度の食事を食べることができなかった国が、経済開発40年余りで世界10位圏の経済に這い上がったことは、世界で類例がない。87年に民主憲法が制定されて以来、選挙による平和的な政権交代の伝統が確立した。今回、米ピッツバーグのG20サミットで、来年のサミットを韓国で開催することが決定したことで、韓国は堂々と国際社会の懸案を議論し、決定する主役となった。
西欧では、民主主義と産業化が根をおろすまで、数世紀かかった。しかし、韓国は、半世紀で圧縮成長、急速な民主化のため、至るところで消化不良のような現象が現れている。国民所得が高まったからといって、自動的に先進国になるわけではない。「国の品格」と市民意識が、先進国水準まで高まってこそ、真の先進国の待遇を受けられる。大韓民国が、浅はかな「成金」と言われないためには、韓国社会の隅々で手を加えるところが一つや二つでない。
李明博(イ・ミョンバク)大統領は30日、記者会見で、「G20サミットの誘致は、大韓民国がアジアの辺境から抜け出し、世界の中心に立つことになったということを意味する」と述べ、韓国の「国の格」を一層高めていく機会にしなければならないと述べた。国際社会では、国力の伝統的要素である経済力や軍事力などのハードパワーよりも、国家の品格やイメージなどソフトパワーが浮上しつつある。国家ブランド委員会の魚允大(オ・ユンデ)委員長は、「外国では、韓国に対する否定的イメージとして、北朝鮮問題、国会をはじめとする政治と暴力デモなどを挙げる」と述べた。韓国の暴力国会は、米国の外交専門誌フォーリン・ポリシーが、「世界最悪の国会」に挙げるほど、国家の羞恥となった。暴力と誹謗中傷が飛び交う国会像が、青少年や一般社会に与える否定的な影響も大きい。
韓国社会には、法と秩序を破ることが、独裁政権に対する抵抗のように考える文化がまだ残っている。87年の6月抗争で民主化を成し遂げたが、22年が経った今も、デモ文化の時計は軍事独裁政権時代のまま止まっている。利益集団は、自分の取り分を得ることだけに目がくらみ、他人への配慮や法秩序の遵守を疎かにする。民主主義の面で、まだ韓国は先進国になるのには遠い。
李大統領は、政界と国民に品格を要求しながら、大統領府と政府、公職者と公共機関の姿勢については言及しなかった。大統領と政権勢力、そして公務員がまず模範を示さなければ、国民は冷笑するだけだろう。行政の透明度と国民へのサービスする姿勢で、韓国が進まなければならない道が残っている。