李明博(イ・ミョンバク)大統領が最近、一般市民に歩み寄り続け、支持率が上がっている。李大統領はその代わりに企業に対しては、「(企業間の価格)談合の事例があったら、厳しく責任を問わなければならない」という発言をした。ハンナラ党の鄭夢準(チョン・モンジュン)代表も、鷺梁津(ノリャンジン)水産市場、福祉施設の訪問などで厳しい日程を送りながら、全国経済人連合会との面談の提案については確実な答えをしていない。
しかし、これだけを見て、大統領府と党が支持率を高めるために、一般市民だけに気を使うあまり、「ビジネス・フレンドリー」をおろそかにしていると、早とちりするわけにはいかない。一般市民に良い政策が企業に悪いはずがなく、企業に良い政策が一般市民に悪いわけがないからだ。李大統領も昨年末、「恵まれていない人々が、早く貧困から脱するように助けるのが真の福祉だ」とし、「そうするためには、働き口を与えるのが肝心だが、これは企業がうまくいってこそ可能なことだ」と述べた。
李大統領が8・15慶祝の挨拶で、明らかにした代表的な親庶民政策が希望勤労事業であるだろう。1兆7000億ウォンを投入し、25万件の働き口を作った。経済危機で、弱い階層を助けるために必ず必要な政策ではあるが、企業でそれほどの働き口が作られていたら、国民が納めた1兆7000億ウォンの税金は、もっと生産的なところに使われただろう。働き口をたくさん作り、税金をきちんと納める企業を我々みんなが激励しなければならない理由がここにある。
一般市民寄り政策だけでは、良質な働き口が持続的に生産されにくい。この前の第1四半期には、昨年より就業者が20万人も減ったが、科学技術・保健福祉・教育サービス業の常用労働者は26万2000人が増えた。サービス業の規制を画期的に緩和すると働き口ができ、ここに就業した一般市民は、医療保険など社会保障も受けられる。規制改革のように企業寄り政策こそ、一般市民寄りの政策だという点を国民も認識しなければならない。
08年、企業は39兆2000億ウォンの法人税を納めた。個人が納めた36兆4000億ウォンの所得税より多い。企業がうまくいってこそ、法人税収が増え、このお金で保育支援、授業料支援など、一般市民寄りの政策も可能になる。年1646万ウォン以下を稼ぐ4人家族の労働者は、免税特典を受けているため、税金を納めている労働者は全体の49.6%に過ぎない。
政府が、一般市民寄りの基調で支持率アップにばかり気をとられ、企業活動の促進を疎かにしたら、結果的に国民生活はさらに厳しくなりかねない。政府は、本当に一般市民のことを思いやるなら、労働者の働き口を奪う強硬労組、一般市民のために奉仕することを知らない公企業と公共労組に、まずメスを入れなければならない。
昨日、大統領府の首席秘書官会議でも、「一般市民寄りの振る舞いは良いが、国民にやたら約束するようなことは遠慮してもらいたい。大統領と会うのはロトという話がある」という言葉もある。分けてやることだけが全てではなく、一般市民の健康な勤労精神を刺激するのも肝心だ。