自由先進党のホームページの初期画面には、「国民のための温かい保守」になるという誓いに続いて、「強小国連邦制」についての詳細な説明が掲載されている。無所属で第17代大統領選挙に出馬した李会昌(イ・フェチャン)総裁の選挙公約を、先進党の代表政策にしているのだ。先進党は、昨年10月と今年6月に討論会を開き、強小国連邦制の公論化に努めた。李総裁も、制憲節をはじめ機会ある度に持論を力説している。
◆強小国連邦制が、李明博(イ・ミョンバク)大統領の首相人事に支障となった。李総裁は2日、「世宗(セジョン)市を原案どおり建設し、強小国連邦制の推進に同意することを求めたが、大統領府が拒否した」として、沈大平(シム・デピョン)前代表の首相入閣問題をめぐってなされた事前交渉の過程を明らかにした。これに先立ち、李大統領は、「李総裁が、2回にわたって強小国連邦制を約束するよう要請したが、約束できなかった」と述べ、沈前代表の起用が実現しなかった経緯を説明した。両者の説明に相違があるものの、強小国連邦制に対する李総裁の執着を確認することができる。
◆李総裁は、シンガポールやフィンランドのような5〜7の「強小国」で構成された連邦国家形態に国家体制を変えることを主張する。中央政府は外交、国防を中心に国家統合と調整機能業務を担い、地方政府には立法、司法、行政、財政、教育、警察などの自治権を付与するというものだ。少なくとも50年以上先を見据えて、国家構造の枠組みと制度を革新し、世界第1の国家競争力を築くことが目標だという。李総裁は、人口500万〜1000万人規模で国を分割し、透明かつ效率的な国家体制を整えれば、国家競争力が向上すると主張する。
◆韓国の国土は、代表的な連邦国家である米国(963万平方キロメートル)の100分の1の水準だ。全国を半日で行き来できる小さな国を何ゆえに分割するのか。ドイツ、スイスなど連邦制を選択している欧州国家は、封建制の遺産のため経済力を含む地方の自生力が強い。韓国の自治体の財政自立度は50%水準にすぎない。ただでさえ地域間対立が激しいところへ、連邦に分割すれば、葛藤がさらにひどくなる恐れもある。沈前代表の離党は、強小国連邦制が実現可能性がないことの証明に十分である。
方炯南(パン・ヒョンナム)論説委員 hnbhang@donga.com