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[オピニオン]1千回のジャンプ

Posted August. 17, 2009 08:12,   

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「アウトライヤー—成功の機会を発見した人々」は、最高経営者(CEO)なら誰でも休暇シーズンに必ず手にする本だ。「アウトライヤー(outliers)」とは、元々「本体から分離された対象やもの」という意味だが、著者のマルコム・グラッドウェルは、「普通の範囲を越える成功を収めた人物」と定義する。著者はここで「1万時間の法則」を提示する。自分の分野で1万時間は投資してこそ成功できるということだ。1万時間だとすると、1日3時間ずつ約10年間に当る。

◆ビートルズは無名時代、ドイツ・ハムブルグ市のバーで1日8時間ずつ3年間演奏しながら、技量に磨きを掛けた。ビル・ゲイツは、シアトルの私立高校に通う時、大多数の人々は名前さえ知らなかったコンピューター共有ターミナルを操ることができた。彼がコンピューターの病み付きなった時間も約1万時間だった。ある研究によると、専門の演奏者は学生時代、高校の音楽教師より3倍以上楽器を演奏する。バレリーナの姜秀珍(カン・スジン)は、一つのシーズンにトーシューズを150万足履き替えるほど練習し、ニックネームが「練習の虫」だ。

◆しかし、最高になるためには、「1万時間」では足りない。ジェニス・ディキンとステファン・コブリという2人の学者は、フィギュアスケート選手の練習過程を観察し、一流選手と普通選手の違いを突き止めた研究で有名だ。タイム誌が報道した彼らの研究結果によると、一流選手は練習時間の68%を難易度の高いジャンプの練習に使った。転倒しても難しいテクニックに挑戦した。反面、二流級の選手は練習時間の48%のみをジャンプに投資し、一流選手より長い時間休憩した。

◆金妍兒とミシェル・クアンが昨日、ソウルオリンピック公園でデュエットですばらしいアイスショーを披露した。金妍兒のずば抜けた技量は観客を魅了させた。しかし、スターも天才も天から落ちるわけではない。専担コーチのブライアン・オーサーは、「金妍兒の才能を生まれつきの祝福だと思う人がいたら、金妍兒が練習する過程をちょうど3日だけ見てみなさいと言いたい」と話した。彼は最近発刊した自叙伝、「1回の飛翔のための1千回のジャンプ」で、「金妍兒の唯一の欠点は、練習しすぎる完ぺき主義者だという点だ」と書いた。金妍兒は一つのジャンプテクニックを身に付けるため、少なくても3000回の転倒をする。このような挑戦と克己を学ぶ青少年が多くなってほしいものだ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com