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[オピニオン]聖職者と公職者

Posted August. 14, 2009 08:15,   

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米国では政府高官に任命される人は、ホワイトハウスの人事責任者と面談を経なければならない。面談を無事に通過すれば、60ページ以上の個人情報陳述書(personal data statement)を作成し、提出しなければならない。学校での生活を証言する高校時代の友人らの名前や連絡先、これまで居住してきた全ての住所、この15年間の海外旅行の行き先や目的も記すことになっている。これを基に、連邦捜査局(FBI)と国税庁(IRS)などが、2〜8週間に渡り、田舎町や離婚した配偶者まで訪ね、詳細に調査を行う。ヒラリー・クリントン国務長官が先月13日、「(米国の公職者への)検証手続きは悪夢だ」と愚痴をこぼしたほどだ。

◆大統領府が政府幹部職の改造を控え、候補者らから100あまりの質問が盛り込まれた自己陳述書を受け取っている。陳述書には、「10万ウォン以上の接待を受けたことがあるか」、「私債を装って元金を受け取ったことがあるか」、「かつて、不適切な異性関係はなかったのか」などの、告解の秘蹟水準のチェックリストが盛り込まれているという。大統領府が、これほど複雑な自己陳述書を要求するのは、千成𨛗(チョン・ソングァン)検察総長候補の落馬以降、政府内の雰囲気と関係がある。

◆財産や税金、兵役、論文、国民年金、医療保険、偽装転入をはじめ、人事聴聞会を前後にした「落馬事故」の余地を、候補者自らが最初にチェックする機会になり得ると、大統領府は説明している。大統領府が、ようやく優れた力量を備えた人物を探し出しても、厳しい人事検証を恐れ、「私は公職には関心がない。外してほしい」と訴えるケースが少なくない。政府内外では、「このような厳しい物差しを突きつければ、引っかからない人は一人もいないだろう」とし、「使える人材集団が狭くなりすぎる」という不満が出ている。

◆厳しくなった国民の道徳基準のため、幹部ポストの人選が次第に厳しくなることは、多くの国民にとって果たして利益となるだろうか。「露のみ食べる」道徳君子のみ選ぶことになれば、彼らは複雑な公職の遂行能力を備えていないケースが多いだろう。特に、現政権は野党や一部の国民から、「富裕層政権」とレッテルが貼られ、財産が20億ウォンや30億ウォン以上の人なら、ほぼ「欠格」と嫌うほどだという。公職者の道徳性はもちろん重要だが、だからといって「金持ちはだめ」というやり方なら、結局、国民に回る副作用も少なくないだろう。

朴成遠(パク・ソンウォン)論説委員 swpark@donga.com