01年に設立された国家人権委員会の歴代委員長らは、いわゆる進歩か左派に分類される人で、市民運動団体で幹部を務めたことがあるという共通点がある。初代の金昌国(キム・チャングク)委員長と2代目の崔永道(チェ・ヨンド)委員長は、2人とも「民主社会のための弁護士の集まり(民弁)」と参与連帯出身だ。3代目の趙永晃(チョ・ヨンファン)委員長は1986年、富川(ブチョン)警察署性拷問事件の公訴維持担当弁護士として活躍した民主化運動の経験者で、経済正義実践市民連合・不正不敗追放運動本部長の経歴もある。4代目の安京煥(アン・ギョンファン)委員長は、進歩的な法学者で、参与連帯の執行委員長を務めた。
◆歴代委員長4人のうち3人が、任期3年を全うできなかったのは、国家人権委員会がどれほど波乱含みの組織なのかを見せ付ける。崔委員長は、偽造転入と不動産投機疑惑で、3ヵ月で辞任、趙委員長は考え方の違うほかの委員らとの葛藤で、出勤を拒否した挙句、1年半で辞職した。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時に任命された安委員長は、李明博(イ・ミョンバク)政権との摩擦で、任期を4ヵ月残し辞退し、最近ソウル大学教授へ復帰した。
◆新任の玄炳哲(ヒョン・ビョンチョル)委員長は、人権団体が彼の任命を反対するデモを展開している中、20日、就任した。「人権関連経験はもちろん、学問的な研究結果さえ皆無の人権の門外漢だ」というのが就任反対の理由だった。玄委員長は法学部教授と学長、韓国比較司法学会長などを務めた法学者だが、人権団体もしくは市民運動の経歴はない。玄委員長は、「40年近く法の研究に取り組んでおり、人権と正義が最上の価値だという考え方を持っている」と反論した。最適任者でないかも知れないが、不適格者だとは言えない。
◆左派性向の人権団体が、国家人権機関・国際調整委員会(ICC)議長国選出の前段階であるアジア地域候補の決定を控え、公開書簡で玄委員長の候補任命を反対することにした。北朝鮮の人権について、沈黙する左偏りの団体にそのような資格があるのか疑問だ。北朝鮮の住民には人類普遍の人権もないと言わんばかりに見てみぬ振りをする彼らこそ、真の人権運動家ではない。彼らはデモ隊の人権ばかりを主張し、正当な公権力の執行さえ罪悪視することで、人権をかざした政治団体という批判にさらされてきた。人権は左右の理念を越える概念だ。玄委員長が左右のどちらにも属さないのは、かえって長所になりえる。
権順澤(クォン・スンテク)論説委員 maypole@donga.com