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[オピニオン]「聖女・在姫長官」

Posted March. 09, 2009 08:33,   

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「聖女のアシュラ」。最近、ドイツの親御さんたちは家族部長官のアシュラ・フォン・ザ・レイェンさんのことををこう呼んでいる。7人の子供の母親であるレイェン長官の出産奨励のため、赤ちゃんを産む人々が増えたためである。「両親のお金」という制度では、出産直後に休暇を取って子供の面倒を見る親に年間賃金の67%を支払う。父親なら14ヵ月分を受け取ることができる。ドイツの合計出生率(一人の女性が生涯に産む赤ちゃんの数)は004年の1.33人から、07年は1.37人へと増え、08年も赤ちゃんの数が増えた。

◆韓国の保健福祉部の職員らは第2子を生めば2000ポイント(200万ウォン相当)、第3子目は3000ポイント(300万ウォン相当)の出産奨励点数がつけられる。子供が3人以上なら、昇進候補者リストの作成の際、1点の加算点がつけられる。育児休暇が育児解雇へとつながるのではないか、不安に慄く一般サラリーマンとはわけが違う。ある新聞調査によると、福祉部の職員らの平均子供数は1.91人だった。わが国の合計出産率は1.09人である。福祉部の職員だけに恩恵を与える「内輪だけの」政策では、違和感だけ与え、国民全体の出産率を引き上げることはできない。

◆「少子化の問題は大韓民国の命運のかかっている問題だ」として、対策作りに追われている全在姫(チョン・ジェヒ)保健福祉部長官の苦労がわらからにわけではない。長官は移民者を受け入れるドイツのやり方や、破格的な政府支援によって出産率引き上げに成功したフランス流のモデルのうち、フランス流に注目しているという。しかし、ドイツではすでにフランス流を取り入れている。レイェン長官が、「赤ちゃんが増えれば、41万7000の新たな雇用が生じ、年間税収が700億ユーロ増加する」と語った。出産も経済政策に基づいてアプローチして、予算を獲得したのである。

◆経済協力開発機構(OECD)は、女性の経済参加人口を増やすために、保育料の上限を撤廃するよう助言した。そうすれば、出産率も引き上げることができる。質の高い国公立の保育施設は不足し、民間施設は安心できない。サービス市場への規制を緩和すれば、よい民間施設ができる上、さらに雇用も生じる。「愛国の気持ちで5人だけ生んでほしい」と訴えることでもない。福祉部の職員らが受ける恩恵を全国民に広げることができれば、出産率を画期的に高め、2子の母親である全長官も「聖女の在姫」という言葉を耳にできるかも知れない。

金順鄹(金・スンドク)論説委員 yuri@donga.com