米国産牛肉問題で悪化した国民感情が、再選挙・補欠選挙で与党の惨敗となって現われたことで、与党内部では、内閣改造とともに大統領府の全面改編を通じて、国民感情の収拾を図らなければならないという声が高まっている。
しかし大統領府は、国政の空白を理由に、人事刷新に関して慎重な立場を見せ、政局反転に向けた対策づくりに苦心している。
5日に開かれた与党ハンナラ党の最高委員会議で、金学元(キム・ハクウォン)最高委員は、「再・補欠選挙で惨敗した意味を肝に銘じなければならない。国政刷新、人事刷新が遅れているが、早期に決断を下し、新たな覚悟で初心に立ち返る姿を示さなければならない」と述べた。
ハンナラ党は、とくに5日に予定されていた第18代国会の開会式すら行えず、院構成が遅延している現実に照らして、人事聴聞会の手続きが必要な内閣改造は、ともすれば国政空白の長期化をもたらすため、1次的に直接国政補佐の責任を負った大統領府から全面改編すべきだという「2段階人事刷新論」が広がっている。
孔星鎮(コン・ソンジン)議員は、「内閣と大統領府の改編で数人の人物を問責性人事で交代する程度では、国民の支持を取り戻すことはできない。大統領府から完全に新しい陣容を組まなければならず、タイミングも遅れてはいけない」と強調した。
さらにハンナラ党では、大統領府秘書陣の現実感覚と政務感覚不足を批判し、「李大統領と国民生活の現場との距離を縮めるように、朴亨逷(パク・ヒョンジュン)、鄭鍾福(チョン・ジョンボク)前議員など、李大統領と呼吸を合わせてきた党内の政治家たちを政務、民情などの『疎通役』として布陣に加えるべきだ」という主張が出ている。
大韓弁護士協会も同日、緊急常任理事会を開いて、「単に長官の数人を更迭して、朝三暮四の一時しのぎの策だけで解決できる事案ではない」として、内閣や大統領府参謀陣の大々的な人事刷新を提言した。
保守派の学者たちの間でも、農林水産食品部、保健福祉家族部、教育科学技術部の3長官のほかにも、内閣統括の責任を問い、韓昇洙(ハン・スンス)首相も更迭対象に含むべきだという指摘も出ている。
これに対して大統領府の関係者は、「大統領府秘書陣が全員辞任しても、野党が退くだろうか。次は首相の首を出せ、その次は(大統領に)下野しろと言うだろう。今回の事態をもたらした牛肉問題の解決と有効な国民生活対策づくりが先決だ」と述べた。
この関係者は、とくに「6・10民主化運動記念日が、現在のデモ政局の分水嶺になるという判断の下、具体的なアクションは、その後に可視化されるだろう」と述べ、来週半ば頃に人事刷新案が発表される可能性を示唆した。
大統領府はこれに関連して、当初9日に予定されていた大統領の「国民との対話」を延期する代わりに、8日に韓首相が参加する高官級の政府与党間協議会を開き、原油高対策を含む国民生活安定総合対策を発表する計画だ。
李大統領は、国政刷新に関する国民世論を収れんするために、仏教(6日)、キリスト教(7日)、カトリック(9日)の宗教指導者たちと相次いで会談する予定だ。
swpark@donga.com jkmas@donga.com