Go to contents

[オピニオン]金富謙議員の野党論

Posted May. 15, 2008 07:27,   

陰の内閣(Shadow Cabinet=英国保守党)、対抗政府(Contre-gouvernement=フランス社会党)、予備閣僚チーム(Frontbench Team=アイルランド労動党)、明日の内閣(日本民主党)…。議員内閣制を採択している国で、野党が政権を握る場合に備えて作っておいた政府をこのように呼ぶ。大統領制と議員内閣制の混合型と言える二元的政府制のフランスでは、社会党の「対抗政府」を「幽霊内閣(cabinet fant me)」とも呼ぶ。それほど議員内閣制に比べて予備内閣の「現実感」が乏しいということだ。

◆統合民主党の院内代表予備選挙に出馬した金富謙(キム・ブギョム)議員が昨日、党の討論会で、「7月の党大会で党憲・党規を直して予備内閣制度を導入しよう」と提案した。現在の院内代表および政策委員会の組織を予備内閣制に切り替え、再選議員クラスで「陰の長官」を任命し、省庁ごとに次官、報道官まで置いて、授権政党の面貌を整えていこうということだ。1997年の大統領選挙の際、ハンナラ党の一部で「李会昌(イ・フェチャン)候補一人だけが候補者ではなく、予備内閣のリストを予め発表し、国民の関心を高めよう」という「アイデア」が出たことはあるが、公式的に予備内閣の導入を公約したのは、金議員が初めてらしい。

◆やや「突拍子もない」という感じがぬぐえない。わが国の権力構造に議員内閣制的な要素(首相の長官任命提案権)がなくはないが、フランスよりもっと純粋な大統領制に近いため、ともすれば「空理空談」と言われやすい。しかし、金議員は「もう政府与党の失政による反射利益で国民の支持を得ようという考えは、夢にも思わないようにしようという意味だ」と述べた。闘争よりは実力で勝負に出ようということだ。言われてみれば、うなずける話だ。

◆しかし、かつて野党生活を長くした人物らは、「大統領選挙で531万票という史上最大の差で敗れ、総選挙でも惨敗し、『50年の正統野党』が壊滅直前まで追い込まれたが、李明博(イ・ミョンバク)政府の人事失敗と牛肉交渉の波紋でせっかく再起のチャンスを迎えているのに、ふざけた話をするんじゃない」と声を荒げるかも知れない。金議員の野党論に対する民主党党員らの答えが聞きたくなる。

金昌爀(キム・チャンヒョク)論説委員 chang@donga.com