業務引継ぎ委員会は工場設立関連規制のうち、「水質汚染総量制」を改革の最優先課題に挙げている。
ハイニクスなど雇用創出効果の大きい製造各社が水質汚染規制のため、工場増設に困っているうえ、地方各都市が工場を誘致できず、地域経済活性化のネックになっているからだ。
●全国単位の工場規制から解消
業務引継ぎ委員会が改革課題に挙げた水質汚染総量制は、4大河川付近の地域がすべて関わるだけに、首都圏の規制緩和のみならず、地域の経済活性化に役立つメリットがある。現在、同規制は漢江(ハンガン)だけでなく、△洛東江(ナクドンガン)流域の地方自治体、△錦江(クムガン)及び栄山江(ヨンサンガン)流域の広域市と地方自治体に義務として適用されている。
漢江流域にある京畿道(キョンギド)傘下の各地方自治体は、自律的に総量制導入の是非を決めているが、現在京畿道広州市(クァンジュシ)だけが総量制を採択している状態。ハイニクス工場のある利川市(イチョンシ)には総量制の代わりに個別汚染物質の濃度を基準に工場の新増設可否を判断する濃度制が適用されている。
ハイニクスは銅の排出量と関係なく、銅の工程があるという理由から、工場増設の承認を受けられなかった。利川市が現在より緩和された水質汚染総量制を採用し、ハイニクス工場増設による汚染物質の排出量がこの総量限度を超えなければ、増設は可能になる。
地方でこの規制が緩和されれば、これまで水質汚染総量超過により工場増設が中断された全羅南道長城郡(チョンラナムド・チャンソングン)と羅州市(ナジュシ)、忠清北道鎭川郡(チュンチョンプクド・チンチョングン)などの経済環境が改善されるものとみられる。
一例として、機械部品メーカーA社は06年6月に忠清北道地域に工場を建設するため、1万2540平方メートルの土地を購入したが、自治体から、水質汚染総量を上回ったという理由で承認を断られ、数億ウォンを失った。
業務引継ぎ委員会のある関係者は「4大河川流域に工場を建てる企業が独自の浄化努力で当初予想した汚染物質の排出量を減らせば、この削減分を他の会社に売れるようにする『汚染物質排出権取引制』も検討している」と述べた。
●「都市内の工場」も活性化
都市に近い地域に工場が足りず、物流費用の負担がかさむ問題を解決するため、都市近隣生活施設用地の工場設立を拡大する案も検討される。業務引継ぎ委の案は、近隣生活施設はランドリー、飲食店、学院などが入ることのできる用地だが、ここに製造業社が入ることができないようにした現行の建築法施行令を改正するものだ。
これが実現すれば、都市への工場誘致が可能になり、小規模企業の創業がいっそう容易になるとみられる。ただし、業務引継ぎ委員会は報告書で「近隣生活施設に工場が増えれば、住民からの苦情が増える可能性がある」と憂慮する。都市内工場の用途を制限するなどの細かい調整が必要だというのが専門家らの意見だ。
また、産業団地造成手続きを簡素化する案と関連し、個別法の適用を受けている河川工事認可、農業振興地域変更、保全山地解除、工場設立承認手続きについて、今後は産業立地及び開発に関する法律で一括処理するものとした。
現代(ヒョンデ)経済研究院の兪炳圭(ユ・ビョンギュ)産業戦略本部長は「規制緩和による衝撃を減らすため、個別企業の効率性を高める規制解消の後、経済全般に影響を与える規制を解消する方法で調整する必要がある」と話す。
legman@donga.com






