韓国の国富ファンドである韓国投資公社(KIC)は、05年設立以来昨年までの3年間、続けて赤字を出した。累積赤字は大まかに見積もっても100億ウォンを超える。日本債権の収益率が下がるのを予想できず、巨額の資金を投入するなど、投資判断を誤った理由も大きい。にもかかわらず、社長や監事、職員たちは06年、1人当たり平均1142万ウォンの「ボーナス」を受け取った。「外貨保有高の効率的な運用や北東アジアの金融ハブ構築」という設立趣旨は、低迷する業績や放漫な経営のせいで色あせしてしまった。
KICが世界的な投資銀行(インベストメントバンク、IB)、メリルリンチへの20億ドルの投資を決めたことは前向きに評価できる。しかし、厳密に言えば、世界金融の中心部にようやく第一歩を踏み出したに過ぎない。米国サブプライムモーゲージ(低所得者向けの住宅ローン)の焦げ付き問題で、グローバルIBの株価が大幅に下がったことを考慮すれば、数年後には利益を出す可能性はある。しかし、投資の世界では偶然の幸運は長く続かない。投資対象企業の価値を分析し、市場状況を予測する人並み外れた能力を備えなければ、失敗の確立は高まらざるを得ない。
世界金融市場では国富ファンドを代理人として前面に出した、各国の金融主導権争いが激しい。中国だけ見ても、昨年9月、国富ファンドの中国投資公社(CIC)を設立して、韓国よりスタートは遅れたが、モルガンスタンレーなどに巨額の資金を投資し、「チャイナドル」の威力を誇示している。
外貨保有高の特性上、KICが高危険・高収益資産への投資比重を増やすのは容易なことではない。「スポンサー」である韓国銀行や財政経済部の投資指針がややこしい上、意思決定構造が複雑であり、市場変化にすばやく対応できないというKIC側の主張にも耳を傾けるべきだ。
しかし、KICは市場の信頼性を高められないことを自責しなければならない。世界10位の経済力を保有している国の国富ファンドとしてのプレゼンスに見合う実績を上げず、運用人材の実力も信頼を得ていない。自信がなければ謙虚になるべきだ。高い給料を払ってでも国内外市場の一流人材たちを迎え入れなければならない。
政府はKICの資産規模を現在の200億ドルから、10年は500億ドルへと増やし、投資対象も海外不動産などへと広げる方針だ。「国家財テク」の尖兵として国民の大事な財産を運用するためには、その能力に見合う成績で立証するのが先だ。当局もことあるごとに統制しようとする官僚的な発想から離れ、国富ファンドの力量を育てる対策を模索しなければならない。本物のプロたちが求められている。






