三星(サムスン)裏金特別検事(特検)法案が、紆余曲折の末、昨日、国会本会議で可決された。「捜査中もしくは裁判の終わった事案まで捜査対象に含まれており、憲法上の過剰禁止や比例原則に反する」という鄭城鎭(チョン・ソンジン)法務長官の指摘をうけ、一部の条項が修正されたものの、議論の余地は依然として残っている。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の拒否権行使と関連して、大統領府が明確な意見表明を見合わせており、特別検事を実施するかどうかやその時期はいまだ流動的だ。
三星が韓国経済に占める重みや象徴性を考慮し、特検が国家経済や企業の信用度に及ぼす悪影響や副作用を憂慮する財界の声が大きい。三星の特検の対象は、かつて6度にわたって行われた特検とは比べものにならないほど膨大な規模だ。30日間の法案公布や特別検事の任命期間を経て始まる特検捜査は、準備期間まで入れれば、最長4ヶ月(125日)間続けられることもありうる。ただでさえ、原油価格の高騰やウォン相場の問題など、国内外の悪材料のため、非常事態をおかれている国家経済に負担になることは確かだ。
裁判係争中の事件への捜査という違憲性から逃れるため、捜査対象を「三星支配権の引き継ぎと関連した捜査や、裁判過程での不法行為疑惑、捜査放置疑惑」としているが、議論の種が完全になくなったわけではない。1997年以降10年間の裏金造成やロビー疑惑をすべて捜査するためには、企業業務が麻痺することにもなりかねない。財界から「10年間の企業活動を詮索すれば、生き残れる企業が果たしてあるだろうか」という同情論が出ているのにも、耳を傾けるべきだろう。
ハンナラ党の要求で法案に含まれた02年の大統領選挙資金や最高権力層へのロビー疑惑は、盧大統領が退任後、捜査対象に含まれる可能性もあるだけに、相当な爆発力を抱えている。盧大統領が拒否権を行使するのに、このくだりが負担として働くこともありうる。事件の性格上、盧大統領の任期が終わり、中止された公訴時効は再開された後、検察や別途の特検が捜査したほうが理にかなっている。
執刀医があちこち手当たり次第に手術すれば、患者を殺してしまう。特検法が発動されても、化膿している腫れ物だけ正確にえぐり出し、経済再生に役立つ特検にならなければならない。左派の一部で提起する「三星殺し」の舞台に特検が利用されてはならない。






