フランス作家のギ・ド・モーパッサンの短編小説『ネックレス』に出るルワジェルは、最近の言葉でいえば「お姫さま病」にかかった奥さんだ。主人はそれをサポートすることが手に負えない教育部の下級公務員。ある日、主人が長官のパーティー招待状を持って浮かれて帰ったが、彼女は喜ぶどころか招待状をほうり出し「何を着て行けというのか」と言い放つ。彼女の大きな目にはいつのまにか涙がたまる。主人は猟銃を買おうとして貯金した金4百フランで服を買ってやる。
◆パーティーの日が近付くと、彼女は宝石の話の末に友だちのダイヤモンドのネックレスを借りるようになる。彼女はパーティー場ですべての男性の関心を引き、多くの男性のダンスパートナーになる。大成功を収めて家に帰ってきた彼女は意外にもネックレスが消えたことを認識する。結局、父親が残してくれた金といろんなところから借りた金3万6000フランで同じネックレスを買って友だちに返してから、その借金を返すのに10年もかかる。しかし、ある日偶然会った友だちは10年前の話を聞いて「どうしたらいい。私が貸したのは5百フランのにせ物だったの」と言う。
◆サマセット・モームの短編小説『知り物博士』は何の関わりもない男性が買ってくれた本物のネックレスを素材にする。物知り博士のケラダは1年間米国のニューヨークと日本の神戸で別れて暮らしていたレムジ夫婦と船の上で会う。彼はレムジ婦人の真珠ネックレスがとても高いものだと口出しする。主人が18ドルのイミテーションだと言うと、100ドルの賭けをする。ケラダは本物であることを再確認した後、話そうとする瞬間、哀願する奥さんの目つきを見てあきらめる。翌日、彼の船室には100ドルと手紙一通がドアの隙間から入ってくる。
◆卞良均(ピョン・ヤンギュン)前大統領政策室長がニセ博士の申貞娥(シン・ジョンア)氏にプレゼントしたという真珠ネックレスが話題だ。売り上げ伝票、品質保証書が一緒に押収された点からして本物であることは確かなようだ。検察は「不適切な関係」を示す決定的証拠物と見ている。卞氏がサマセット・モームと同じ名前の「サマセットパレス」というレジデンスホテルに泊ったことも本当に奇妙だ。シン氏のオフィステルとは800mの距離だ。大統領の言葉のように小説のようだ。
陸貞洙(ユク・チョンス)論説委員 sooya@donga.com






