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記者を部屋に集め、取材現場から隔離

Posted August. 24, 2007 07:29,   

「記者室を閉鎖してブリーフィングルームに転換する。政府省庁のオフィス訪問取材を制限し、取材に応じた公務員は必ず上層部に報告せよ」

最近論議が起こっている国政広報処の「取材支援システム先進化方案」の内容のように見えるが、これは03年3月14日、李滄東(イ・チャンドン)文化観光部長官(当時)が発表した「広報業務運営方案」の主要骨子だ。「マスコミに関する限り、私は盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の分身だ」と言っていた李長官が、大統領の言論観をそのまま反映して作った「マスコミ締めつけ」の初の試みだった。

4年半経った今、この発言はそのまま現実となった。いわゆる「改革立法」という新聞法制定、公正取引委員会を動員した批判新聞の圧迫、言論仲裁委員会と法的訴訟による言論界の二分に焦点を合わせた初期の反言論政策は、さらに激しくなり、いまや記者室に大釘を打つことで、言論の自由の本質である取材と報道の自由まで抑圧するに至った。

しかしこれは、当初から予見されたものだった。最近の強引な言論政策は、「記者室に居座って記事の流れを主導する」「言論は不良食品」などの暴言を吐き、言論を傷つけることに力を注いできた盧大統領式言論弾圧の決定版であり、健全な批判さえも受け入れないとする「閉鎖的言論観」の極致だ。

にもかかわらず、参加型政府は、歴史の水車を逆に回す誤った言論政策を「取材支援先進化方案」という名でごまかしている。理念とメディアにかかわらず、すべてのマスコミ記者たちが政府方針に反対する理由は、政権が攻撃するように「既得権の守護」ではない。政府の方針を受け入れたり放置したりすれば、憲法の保障する言論の自由と国民の知る権利が深刻に傷つけられるためだ。

参加型政府の偏狭かつ歪曲した言論観の実態と問題点、そしてそれによってもたらされた副作用をシリーズで紹介する。

「公報室です。A局長との面談を申し込まれましたか」

東亜(トンア)日報のB記者は最近、財政経済部のA局長に会うために、秘書に電話で面談を申し込んだ。そして、数分も経たずに、公報室の職員から電話がかかってきた。

「どういった御用件でA局長お会いになるのですか。面談をするには、事前に公報室を通さなければなりません」

B記者は瞬間呆気にとられた。面談の申し込みを受けた秘書が、記者がA局長に会おうとしていることをすぐに公報室に知らせたのだ。

▲取材ソース接触に事前申告〓政府が来月1日から施行する予定のいわゆる「取材支援システム先進化方案」が、すでに記者の取材通路を制限する「効果」をあげている。

政府は、「取材支援システム先進化方案」を施行するに先立ち、根拠規定として「取材支援に関する基準(案)」を首相訓令として作成した。世界でマスコミの政府取材方式を「明文化」して規制する国は韓国だけだ。

このうち代表的な毒素条項は、第3章に規定された「取材応対」の項目だ。

訓令は、「公務員の直接取材は、ブリーフィングルームや指定された接見室でのみ行われなければならない」と規定している。もし記者が事務所で公務員に会う場合は、取材目的と取材ソースを事前に公報室に届け出なければならない。また訓令は、記者と電話取材に応じたり面談したりする公務員は、事後にその事実を公報室に知らせるよう規定している。

同制度が施行されれば、政府は、記者がいつ、誰と、なぜ、どれほどの時間会ったのかを各省庁公報室を通じて把握できる。「ビッグブラザー」がすべてを統制するジョージ・オーウェルの「1984年式統制」そっくりだ。このため、公務員は記者接触を避けざるをえず、会ったとしても政府政策に対する率直な所見を明らかにすることはさらに難しくなる。

記者が自由に公務員に会い、疑惑のある事案について十分な情報提供を受けて記事化することが、現実的に不可能になる。また、国民に代わって、政府がしっかり仕事をしているのか、不正腐敗はないのかを監視しなければならないマスコミが、政府が一方的に出す「濾過された声」だけを聞いて記事を書かなければならない状況になる。

▲記事送稿室統廃合の理由は〓最近、外交通商部、保健福祉部などの政府各省庁は、記者が記事作成と取材活動のために使用してきた記事送稿室を閉鎖し、記者に統合ブリーフィングルームに移動するよう求めている。しかし、統合ブリーフィングルームは現在、ソウル、果川(クァチョン)、大田(テジョン)に1つずつあるだけで、ここで、政府各省庁で実際に起こることを現場取材し、締切り時間に合わせて迅速に記事を送稿することは、初めから不可能に近い。

1985年、朴鍾哲(パク・ジョンチョル)君拷問致死事件を含め、多くの事件不正や政府政策の問題点は、各省庁や検察、警察の庁舍で、未明から夜遅くまでし烈な取材競争を通じてニュースを追跡する記者たちによって、世に知らされたのだ。

▲政府の直接世論統制〓政府は、このようにマスコミ取材を制限する措置を取りながら、KTVの人員増員など、官営メディアによる政府広報報道は極大化しようとしている。

政府は先週、「方案」によって、KTVの人員など広報処の定員を約10%増やす職制改正案を閣議決定した。官制報道を増やし、「情報の生産→流通→世論反映」の過程をすべて掌握するという意図と解釈される。

翰林(ハンリム)大学言論情報学科の崔英宰(チェ・ヨンジェ)教授は、「担当省庁制度の改善は、マスコミが悩んで解決すべき問題であり、政府が出てくることではない。政府が言論の自由を作ると言った瞬間に、言論の自由は壊れる」と指摘した。

▲記者の反発が拡散〓政府の一方的な「取材支援システム先進化方案」の推進に対して、連日反対声明が出されるなど、記者たちの反発もさらに激しくなっている。

韓国記者協会所属の39のソウル地域のマスコミ、記者協会の支会長たちは23日、政府の一方的な記事送稿室統廃合に反対する声明を発表した。

彼らは、「政府が取材支援システム先進化方案という理由で、記者が公務員に会う機会を統制することは、非民主的なことであり、5共(第5共和国=全斗煥政権)式言論統制を連想させる」とし、「記事送稿室は、該当の省庁の建物にあることが原則とならなければならない」と述べた。

また、「政府が記事送稿室統廃合の措置を強行すれば、言論団体はもとより市民社会団体とも連帯して、強力に抵抗していく」と付け加えた。

これに先立ち、外交通商部、財政経済部、労働部、建設交通部、保健福祉部、科学技術部、警察の担当記者たちも、政府の「取材支援システム先進化方案」に反対する声明を発表している。



leon@donga.com