米カリフォルニア州のシリコンバレーに住んでいるケリー・クレメン氏(43)は、いかなる基準に照らしてみても金持ちだ。デートのあっせんサービス業、マッチドットコム(Match.com)の創業主である彼の純資産は1000万ドル(約90億ウォン)。にもかかわらず、彼は金持ちになるため、最近も毎週、60〜80時間も働く。
ニューヨークタイムズは5日付で、「金持ちであることを実感できないシリコンバレーの百万長者」という見出しの記事で、「シリコンバレーには客観的には百万長者だが、相変わらず、ほかの平凡な人々と同じように、一所懸命に働く百万長者が多い」と分析した。
彼らは休まず働くので、「労働者階級の百万長者(working-class millionaires)と呼ばれる。
情報技術(IT)会社で、マーケティング役員として働いているヘル・ステッガー氏(51)も、典型的な労働者階級の百万長者。金融資産が200万ドルに達し、太平洋に面する130万ドルの自宅もある。なのに、依然として毎日、朝7時に会社に出勤する。毎週の平均勤務時間は70時間にも上る。
彼らが自分たちを金持ちだと思わない理由はなんだろうか?周辺に金持ちがあまりにも多く、富の基準が変わったからだ。1000万ドルの資産家であるクレメン氏は、「シリコンバレーでは1000万ドルの財産ぐらいなんでもない」とした上で、「真の意味の金持ちには、まだまだ遠い」と話した。
シリコンバレーの高い物価も、このような百万長者たちを不安がらせている。シリコンバレーの平均住宅価格は、今年第一四半期(1〜3が月)基準で78万8000ドルで、米国の平均住宅価格(21万2300ドル)の4倍にもなる。金持ちの町では住居費やショッピング、教育費などで、それ相応の金を使うため、相当な金持ちでない限り、安心できないというわけだ。
実際に、トニー・バガロ氏(44)は、これまで20年間、約360万ドルを稼いだが、税金を払った後に残った金は220万ドル。さらに、最近75万ドルの住宅を購入した後、リフォーム費用として35万ドルを使い、残った金は120万ドルに過ぎない。このため、彼は依然として、毎週70時間以上働いている。それに、富への原初的な欲求も、シリコンバレーの百万長者たちが仕事を手放せない理由となっている。
周辺の「より大金持ち」たちから刺激を受け、目標を「500万ドル、1000万ドル、2000万ドル…」のように引き続き高め、引退後の気楽な人生よりは、目先に向けて突っ走る人生をより好むというわけだ。
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