最大政党ハンナラ党の李明博(イ・ミョンバク)大統領選候補の「財産検証」を取り巻く訴訟事態がめまぐるしく動いている。李候補の選挙対策委員会は11日、名誉毀損訴訟を提起した李候補の義弟・金ジェジョン氏に告訴取り下げを要請することで最終結論を下したが、金氏は「真実を明らかにしなければならない」と言って要請を受け入れなかった。私人である金氏の決定に、つべこべ言うべきでない。しかし、このすべての過程で現われた李候補側とハンナラ党の態度は嘆かわしい。
李候補サイドの朴熺太(パク・ヒテ)選挙対策委員長は、「私たち選挙対策委も党の機構であるため、訴訟を取り下げろという党命を支持しなければならない。たとえ陣営内の反対意見が強くても、その道を進むことが正道だ」と述べた。党人として常識的な判断だ。強いて02年の大統領選挙時の「兵風」事件を想起しなくても、候補検証をすると言って捜査機関を呼び入れる政党をまともな政党だと言えるだろうか。
にもかかわらず訴訟が提起され、取り下げをめぐって再びコメディのような事態が起っている。さらに失望させられるのは、李候補陣営の対応だ。党内選挙だけでなく、大統領選挙全体が「検風」に巻き込まれるかもしれない状況が連日続いているにもかかわらず、党指導部と一言の相談もなかったという。政権創出の母体である党は眼中になく、ただ「陣営政治」にだけ埋没しているためだ。
朴槿恵(パク・グンヘ)候補陣営も同様だ。初めは党指導部の告訴取り下げ方針に賛成するようだったが、「取り下げ反対」に後退し、李候補陣営が昨日「取り下げ要請」の決断を下すや、「良い法律家が悪い隣人という諺が想起される」として、取り下げに賛同する態度に変わった。政略的な計算を先行させた「陣営政治」の旧態を感じさせる。
李、朴両候補は今回のことを機に、ますます肥大化し、党内選挙の混乱をあおる陣営の整備に乗り出すことだ。そして、19日に開かれる党の検証聴聞会に最大限協力しなければならない。聴聞会をしっかりするなら、たとえ検察が「別の考え」を持ったとしても、心配は減るだろう。党の検証委員会も、準備を徹底し、疑惑の実体を暴かなければならない。その次は、国民に任せればよい。






