三星(サムスン)グループは最近、すべての系列会社に掲示するように配布したポスターのタイトルを「群鷄一鶴」とつけた。グループ内のニュースレター「三星ワールド」夏号のテーマも「群鷄一鶴」だ。鶏の群れの中の一羽の鶴のように、際立った創造的な人材になろうという意味だ。三星グループの李健熙(イ・ゴンヒ)会長の「一人の天才が10万人を養う」という天才論とも相通ずる四字成語だ。
◆三星が強調する「創造経営」の要は「変化と人材」だ。社内ニュースレターの春号のテーマは「日新又日新」だった。表向きは創造経営であり、変化と人材だが、実は危機意識から発するものだ。逆説のように聞こえるかもしれないが、李会長は危機意識の拡散の「伝道師」だ。李会長は1月、「日本は私たちよりリードしており、中国は追いついてきて、私たちはサンドイッチのように挟まれている」と語った。つづいて、「しっかりしなければ、5、6年後の韓国経済は困難な状況に直面するかもしれない」とも述べた。三星で未来の獲物の発掘(新核心事業)や事業のリストラの話がよく出るのもこのためだ。三星電子も「希望退職」をはじめた。
◆三星のみではない。危機意識を変化の動力とするのは「財界のコード」だ。終始、経済は心配ないという大統領の話とは相当異なる。LG電子は本社の支援部署の人材のうち40%を事業本部に配置した。現代起亜(ヒョンデ・キア)自動車は購買や生産、販売、研究開発などのすべての分野でコスト削減のためのアイデアを絞っている。SKとロッテは、海外で新しい成長動力を求めている。一様に、非常経営体制を組んでいる。もっとも、三星までが危機をさけんでるのだから、ほかのところはいうまでもない。
◆政治圏はしばらくは、大統領選挙に全力を傾けるだろう。だから、世界を相手に競争力の戦争を繰り広げている各企業の立場から見れば、余計にありがたいことだ。最近、三星や現代自動車、SK、KGなどの主な大企業が3年連続、韓国社会で影響力や信頼度の面でもっとも高い集団だという評価を受けたという調査結果がでた。政党や権力機関、市民団体などははるかに下位だ。企業に向ける国民の信頼から見れば、まだ市場経済が正しい方向に向かっているというシグナルのようで、少しは安心できる。しかし、依然として企業への邪魔者は多い。
許承虎(ホ・スンホ)論説委員 tigera@donga.com






