先週、米上院は「米国内の自動車メーカーは、生産車種の平均燃料性能を20年までに3.79リットル(1ガロン)当たり56.3キロ(35マイル)に改善しなければならない」とした法案を通した。現在の基準である40.2キロ(25マイル)は1975年の法制定以来、一度も改定されていない。
自動車のように、グローバル競争が激しい製品が30年以上も「ガソリンを食うカバ」と呼ばれるほどの燃費水準をこれまで維持してきたのは、強力な「自動車族」議員のせいとしか説明のしようがない。この議員たちは、燃費性能の改善で生産単価が高くなり、欧州勢や日本勢より競争力が低下すると、企業も労働者も厳しい局面に立たされる、と主張している。
ニューヨークタイムスのコラムニスト、トマス・フリードマン氏は先週末のコラムで、このような流れを指摘して、「民主党議員が同僚議員をなだめたり、説得したりしてやっと改正にこぎつけた」と嘆いた。
米国の自動車産業を庇護してきた議員たちが今では「米国の自動車市場に不利」として、韓米自由貿易協定(FTA)反対の急先鋒になっている。
▲労働組合と二人三脚の「自動車族」議員〓グローバル主義者で知られるヒラリー・クリントン上院議員の先月のデトロイト発言は衝撃的だった。同氏は「米自動車市場に不利なFTAには賛成できない」と述べた。米国労働総同盟・産別会議(AFL−CIO)所属の組合員が多く出席した場でのことだった。ワシントンポスト紙は社説で「国のリーダーではなく、自動車営業マンのようだ」と批判した。
「自動車営業マン議員」には、ランゲル下院歳入委員長、レビン貿易小委員会委員長、ホイヤー下院院内総務など、民主党指導部が名を連ねる。意見表明はなかったが、オバマ上院議員、エドワーズ元上院議員など、民主党の有力な大統領候補らも同様の姿勢を取っている。
AFL−CIOは毎年、全議員を対象に「私たちの基準からして、A議員のロイヤリティーは○○%」という数字を公開する。現役の民主党議員としては、この数字が90%を割り込めば、次期選挙の民主党予備選(プライマリー)の過程で、競合相手から「十分に進歩的でない」と攻撃される。
ワシントンの通商外交専門家は1日、「民主党がFTAに反対する表面的な理由として好都合の材料が自動車。政治家は自動車産業の保護よりも、労働団体の圧力を恐れている」と説明した。
▲ミシガンの守護神たち〓米上下院は、非公式の議員連盟(Caucus)で、特定産業のための政策を議論する。上院の自動車議連、自動車部品議連、下院の自動車議連は、自動車産業を保護する議員連盟の代表格である。
デトロイト、ランシング、フリント、グランドラピッズなど、多くの自動車産業都市を有するミシガン州出身の議員らが中心になっている。レビン上院議員、ゼネラルモーターズ(GM)の生産職労働者の息子であるカイルディー下院議員らが議長を務めている。ミシガン州では、上院議員2人、下院議員15人のほとんどを「守護神」と呼んでいる。
現代自動車の関係者は、「議員暦53年目26選のジョン・ディンゲル(81)議員の存在に注目する必要がある」という。下院の最長寿議員である同氏は、自動車排ガス規制法案の作成、輸入車製作、企業規制緩和などを取り仕切る下院エネルギー・商業委員長である。
民主党内で下院の実力者であるペロシ下院議長が、「地球温暖化の防止やテロ支援国への補助金という役割を果たしている米国人の石油依存体質から脱する上で、自動車燃費改善は最重要政策」と宣言したが、これに対し、ディンゲル議員は「自動車3社に過度な負担をかける恐れがある」として企業の立場を代弁した。
このほかにも自動車産業の守り神になっている議員は、エイルラズ、アップトン、シュワッツ、ローザス、ノーレンバーグ、ミラー、マッコーター(以上共和党)、カイルディー、レビン、キルパトリック、コニアス(以上民主党)など、数えきれないほど多い。民主、共和党の区分もない。
▲米全域がミシガン〓ミシガン州だけではない。ケンタッキー、テネシー、アラバマなど、GM、フォード、クライスラー自動車の工場や部品工場、デザイン及び工学研究所が位置している地域はすべてミシガン州同様と考えられている。
先月13日、米下院のFTA聴聞会の際、スコット(ジョージア州・民主)議員は、「韓米FTAは米国にとって悪い交渉であり、一方的な交渉」と述べてFTA交渉を傷つけた。同氏の地元はアトランタ市郊外で、韓国の起亜(キア)自動車の工場の敷地はそこから車で1〜2時間の距離にあるが、何とも思っていないようだった。
氏は、「私の地元の近くのGMやフォード自動車工場が閉鎖された」と話した。自分の地元では、日本車や韓国車の躍進に伴う米企業の工場閉鎖が影響を与えなかったが、聴聞会での発言を通して心穏やかでない地元住民の意見をアピールしようとした。
srkim@donga.com






