盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が、「一部大学の内申反映縮小の方針に政府レベルで対処せよ」と指示し、今年の大学入試が混乱に包まれている。4月に入試要綱を確定・発表したソウル大学は、政府の変更要求に、「一度決まった入試案を変えれば、大学の信頼に傷がつく」として、既存案を維持する方針を明らかにしたが、政府の圧力が強まった場合、最後まで持ち堪えることができるかどうか心配だ。主要私立大学は、事態の推移を見守るために、入試案の発表を最大限引き延ばす考えだ。受験生の不安ばかりが高まっている。
盧大統領の入試介入は今回だけではない。05年7月、盧大統領がソウル大学の統合教科型論述を「悪いニュース」と批判すると、教育部はあたふたと「論述ガイドライン」を作成した。政府が論述試験問題の出題方式まで干渉するのは、韓国だけだろう。国際化時代に英語の質問を出すなというコメディのようなガイドラインもこの時に出された。
05年の大統領諮問教育革新委員会の白書には、「盧大統領が、修学能力試験(日本のセンター試験に該当)9等級制を導入し、1等級を上位4%までから7%までに増やそうとした」と書かれてある。修学能力試験が点数制から等級制に変わり、大学側は弁別力が落ちると不満だが、教育非専門家の大統領は、1等級の割合を増やそうとしたのだ。上位圏の大学を平準化しようという意図でないなら、このような発想はできないだろう。
入試制度を少なくとも3年前に決定することになっているのは、教育の信頼性と安全性のためだ。今回の介入は、修学能力試験のわずか5ヵ月前に出た。4月の発表の時には何も言わなかった教育部が、大統領の一言で豹変したことも情けないが、受験生が準備する期間も考えず、突然介入した大統領はあまりにも即興的だ。
盧大統領が、「『内申無力化』は高校等級制に進む道だ」と言ったことも唐突だ。内申1等級の学生が修学能力試験で7等級になる可能性もあり、内申の信頼性が落ちるため、大学は悩んでいる。教育が一時的な感情に左右されてはならない。合理性に欠け、来年には消える運命の入試制度で高校3年生たちを苦しめることは、任期末の大統領のすべきことではない。