昨年12月7日、三星(サムスン)エバーランド転換社債(CB)の低価発行事件の控訴審公判でいったい何が起きたのか。
控訴審裁判部のソウル高裁刑事5部(チョ・ヒデ部長判事)が結審公判の公判調書に、当時公判過程になかった判事と検事の問答の2〜3ページ分量を任意で追加したという東亜(トンア)日報の報道に対し、裁判所と検察はそれぞれ違う釈明を出している。
裁判所は「たとえ手続き上の問題があったとしても、当事者が同意した部分だ」とし、「検察と弁護士、双方の同意を得るなど、控訴状の変更の手続きに問題はなかった」と釈明した。反面、検察側は「どうしてそのようにしたのか(裁判所側に)聞いてほしい」と述べた。
▲当日、結審公判で何があったのか〓裁判部は三星エバーランド事件の控訴審結審公判の途中、「法廷では手続きが極めて重要だ」と強調したという。チョ部長判事が弁護人側に向かって、「後で考えてみれば、当然な事でも、必要な手続きを踏んだ場合と、そうでない場合とでは、厳然たる違いがあるもの」と述べたとのこと。
しかし、同日の公判に出席した裁判所と検察の関係者らは「公判がなめらかに進められたわけではないようだ」と話した。裁判部は、弁護人に検事が提示した意見書の内容を控訴事実に含ませることに同意するかという趣旨の質問を繰り返した。
法曹界のある関係者は「裁判部が検事ではなく、被告人側に犯罪事実の内容に対する同意を求めるというのは、かなり異例のことだ」と述べた。弁護人の同意の下で、控訴状を変更すれば、被告人に有利な犯罪事実のみが控訴内容に含まれる可能性があるということ。
裁判部が弁護人に初めてこのような質問をした時、弁護人側は反対したが、裁判部が重ねて質問をしたところ同意したと、公判調書に記されているという。
しかし、当時裁判に出席したある関係者は、「弁護人が二度目の質問に対して驚いたように『はい?』と答えたが、調書には肯定の意味で『はい』と書いてあった」と伝えた。
公判の終わるころ、検事は控訴状の変更と関連して、裁判部の真意を把握するために、異議を申し立て、発言権を求めた。しかし、裁判部は「裁判は裁判長がやる」として、検事に発言権を与えなかった。
▲裁判部の一貫性に欠けた釈明〓裁判長のチョ・ヒデ部長判事の言葉が変わっているのも混乱を大きくしていると指摘されている。チョ部長判事は、エバーランド事件の弁論再開を決定した16日午後、記者団に対して、「裁判所の直権で控訴状を変更した」と述べた。チョ氏は、「刑事訴訟法上、裁判長の直権で控訴状を変更することができる」とも述べた。
しかし、形事訴訟法298条2項には、「判事が検事に控訴状の変更を求めなければならない」と定められているだけで、検事の申請なしに判事が直権で控訴状を変更できるという意味とは違いがある。
翌日検察が、「控訴状の変更を申請したことがない」と繰り返して発表するや、同氏は、「(検察が)重要な内容でないと考えるならば…」と述べた。
同氏は22日、「検察が控訴状変更申請書を出したわけではない。しかし、私は事実関係をもっと明確にする必要があると判断し、それで双方の同意を得て追加した」と述べた。また、「法廷では『入れます』と言えば『追加します』という意味で受け止められる」とも述べた。
検察が公訴事実の変更について知っていたのかについてもチョ部長判事の言葉は少しずつ変わる。チョ氏は17日、「結審の公判が終わった後、検事も私のところへやってきた」と述べた。5日後、チョ氏は同じ質問が続くと、「当時、事務室の前で担当検事2人と控訴事実の変更について話し合った。検事らも同意をして帰っていった。控訴状が変更されるのを知らなかったら、私のところへどうして来たと思うか」と聞き返した。
しかし、検事は公判直後、裁判長室を訪れたが、面談できなかったという。裁判長室で「面談申請書を作成すれば、明日面談できるようにする」と言われ、検事と裁判長の面談が実現しなかった。裁判長は、その代わり「速記録に出ている内容どおりにする」という意のみ伝えたとされている。
▲残る疑問点〓チョ部長判事は22日、「結審公判の当日には公訴状の変更に対して問題視しなかったのに、どうして今になって問題にするのか」と述べた。しかし、検察は結審公判後、約40日が過ぎた今月18日、公判調書を初めて閲覧したことが分かった。
検察の関係者は、「一部マスコミに裁判部の控訴状変更の内容が報道されて、事実関係を確認するため、裁判部に公判調書の閲覧を申請した」とし、「関連記録は裁判部に記載されているはず」と述べた。
公判調書に裁判部と検事の問答の一部分に対して、裁判部の「公判記録は事務官が書く。検察が持ってきて読んだ準備書面を、いちいちそのまま打つわけではない」という釈明も釈然としない。チョ部長判事は、「公判調書を作成する技術的な部分が分かれば、誤解も消えるだろう」と述べた。しかし、法曹界のある関係者は「公判調書を事務官が書くからと言って、責任も事務官が持つべきか」と反問した。





