国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁委員会に提出する政府報告書の内容が整理された。新しい具体的な制裁措置はなく、制裁のフリだけ見せた水準になるという。民意と国際常識に背を向けた北朝鮮へのご機嫌取りであり、包容政策に対する執着の結果である。
政府は安保理決議案が採択された時、「国連加盟国として決議を尊重し、誠実に履行する」と表明した。その政府が、北朝鮮制裁を規定した安保理決議の内容に対して、すべて政府がすでに取っている措置だとして、中身のない報告書を作成することに終わるなら、韓国の対応を注目してきた国際社会が失望するのは目に見えてくる。
一昨日、党・政府・大統領府の首脳部は、大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)に正式に参加しないことを決めた。政府は、大量破壊兵器の関連物資の販売・移転の禁止などはすでに行っており、貨物検査も南北海運合意書によって実施していると主張する。しかし今年、北朝鮮の船舶が済州(チェジュ)海峡を通過し、22度に渡って通信検査に応じなかったにもかかわらず、海警が一度も北朝鮮の船舶を停船させなかった事実が最近明らかになった。
政府の北朝鮮制裁の報告書は、自ら積極的な制裁を取る意思がないことを明確にしたものだ。政府は、本当にコメ借款提供や肥料支援の中止程度で、北朝鮮が核を放棄すると信じているのだろうか。北朝鮮の核実験の最大被害当事国である韓国が、国連の決議よりも独自路線を重視し、口先だけで国際協力を叫ぶなら、誰がその意志を信じるだろうか。特に、国連事務総長を輩出した国家として、他国よりも積極的に責任と義務を果たさなければならない立場ではないのか。
さらに政府は、今週末の国連総会の対北朝鮮人権決議の表決に対する方針も決めていない。過去のように、棄権や欠席の可能性も少なくない。これまで南北関係の特殊性を掲げ、北朝鮮の人権問題に消極的に対応した結果が核実験である。潘基文(パン・ギムン)次期国連事務総長が10日、長官辞任のあいさつで、「韓国国民が、『心は韓国に、目は世界に』に向けて行動する時」と言った言葉は、心に刻む価値がある。もはや韓国政府は、堂々たる投票を通して北朝鮮の人権を問題視し、北朝鮮住民の人権改善に貢献しなければならない。






