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「タバコが134箱も!、ちょっと開けてみましょうか」

「タバコが134箱も!、ちょっと開けてみましょうか」

Posted November. 04, 2006 07:27,   

「船が入ります」

3日午後2時、釜山(プサン)税関の総合状況室。

釜山税関の崔圭完(チェ・ギュワン)監視局長は大型スクリーンで、釜山港の所々に取り付けられている防犯カメラの72の分割画面を見つめていたが、一つの防犯カメラの画面に視線が釘付けになった。

一隻の船が釜山港の3埠頭の37船席に入ったのだ。北朝鮮の羅津(ナジン)と釜山港を毎週一回ずつ行き来する国内唯一の南北の定期運航船「チュシン号」だった。税関関係者の顔には緊張が走った。崔局長は出動命令を出した。

チュシン号(2000トン級)は、麻薬や偽タバコを第3国に送るため、釜山港に持ち込んできたが、7回も摘発されたことがある。北朝鮮の核実験以来、米国は、チュシン号など、北朝鮮を往来する船を監視するため、韓国政府に核物質の移転を監視できる放射能の探知装備を釜山港に設置するように提案したことがある。

記者は国内メディアとしては初めて、チュシン号に乗り込んで、検索の過程を見て周り、乗組員たちとも会った。

▲「タバコは持ち込み禁止」〓埠頭の状況のため、停泊する一般船舶とは違って、チュシン号は釜山港に入ってくると、いつも3埠頭の37船席に停泊しなければならない。チュシン号は、釜山税関が指定する「重点監視船舶」に指定されている。

チュシン号が到着するや否や、釜山税関・監視局所属の入出航手続き組の2人と、船舶検索組の2人が船に乗り込んだ。海洋警察庁所属の警察2人も同行した。

彼らは書類で申告した乗組員と物品が、実際と一致するかどうかを確認した後、19の船室や機関室、調理室などを、懐中電灯とドライバーを手に、いちいち確認した。

「タバコが134箱もありますか。ちょっと開けてみてください」

船舶検索組の税関員2人が、物品リストを見て、中国人の乗組員に「タバコの倉庫」を開けるように指示した。

1人の乗組員が、「タバコは売るものではなく、乗組員たちが航海の途中、吸うためのもの」と説明したが、税関員は、タバコの箱をいちいち開けて確認した後、「封印措置」を命じた。船が出港する前まで、品を取り出して使えないようにするための措置だ。出航の直前、税関員が再び品物を確認する。

▲「北朝鮮の羅津港がもっと怖い」〓チュシン号は、中国と韓国の民間合弁会社であるトンリョン海運が運営している。乗組員は全員中国人だ。

チュシン号が羅津から釜山港までくるのには、普通48時間がかかる。毎週1回ずつ往復するが、釜山港で12時間ぐらい停泊しているので、北朝鮮では毎週2日ぐらい滞在する。

チュシン号の1等航海士のコン・ウェンボ(32)氏は、「北朝鮮に滞在していても、北朝鮮の住民とは絶対会えない」と話した。

コン氏によると、北朝鮮の到着すると、釜山でのように、北朝鮮の税関員たちの厳しい検索を受ける。コン氏は、「北朝鮮ではもっと強圧的な雰囲気の中で、しらみつぶしに船室を捜索される」と語った。北朝鮮の軍人たちが銃を手にチュシン号を監視するので、乗組員たちは出航するまで、港を離れることはできない。

コン氏は、「2週間に1度、食料品を買うために、乗組員1人が市場にいくが、北朝鮮の保衛局の職員がいつも同行する」と述べた。

船室の検索が終わると、チュシン号が乗せてきた71個のコンテナと62トンのバルク貨物への貨物検査が始まった。たらの干し物や干しきのこ、干しえび、カボチャなど、主に北朝鮮の農産物だった。

一般船舶の場合、コンテナ全体の2%ぐらいを選別して、X線検査をするが、「チュシン号」は、30%以上検査する。同日は71個のうち19個のコンテナについてのX線検査が行われた。税関では、北朝鮮の核実験以来、検査の割合を10%以上高めた。

▲「もっと徹底した検索を」〓トンリョン海運の釜山事務所のキム・チャンジン所長は、「麻薬や偽タバコの密輸船だという汚名を拭い去るために、むしろ徹底的にやってもらいたい」と話した。キム所長は、「チュシン号は単に物資を運ぶだけで、品物の内容までは分からない」と付け加えた。

キム所長は、「もう3年間赤字を出している」とし、「輸入業者たちが北朝鮮の核実験以後、状況がさらに悪化する前に早く物資を運送しようとして、今は貨物が多少増えたものの、早晩、状況は厳しくなるだろう」と懸念した。

釜山港には、いまだに爆発物や放射能を識別できる検査装備がない。X線検査で麻薬や偽タバコなどは摘発できるが、核兵器などを隠して持ち込んだ場合、摘発するのは容易なことではない。



ditto@donga.com